~熱風の果て~

観劇の記録

シャンパンタワーが立てられない(劇団シアターザロケッツ)@中野ザ・ポケット

【脚本・演出】荒木太朗

【出演】井上貴々、北澤早紀、赤沼正一、加藤真由美、森岡宏治、飯野雅、根魏山リョージ、南名弥、林里容、渋木美沙、大橋篤、だんしんぐ由衣、網代将梧、十二月一日絵梨、すずきつかさ、松田佳子、天野きょうじ、渡辺啓太
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北澤早紀さんがメインキャストとして出演する本作。
さっきーは、キャバ嬢役だったらどうしようかと思っていたが、最初は素朴スタイルで登場。彼女の素材をそのまま生かせる役だと、安心していたら、ホストたちと同様にすっかり騙された。後半は真紅のドレス姿となって、大富豪に変身。影が薄いと自虐することしばしばのさっきーだが、決して素朴なだけではない。ステージで磨いてきた輝きを発露させる気品あふれる姿。彼女が持つ2つ魅力が引き出された、良い役で、変身に合わせて、立ち振る舞いや喋り方も変えて、役者としても難しさのある役をこなしていた。座席が前方上手寄りで、ステージ全体は観にくかったが、さっきーをずっと正面で観ることができたのは運がよかった。
舞台がホストクラブということで派手な作品になる、予感も持っていたが、人を思い遣る暖かさと前向きな明るさが底を貫く、しっかりとした哲学を持った作品だった。多くの登場人物が一回舞台に上がると終演まで退場しないので、演じる方も大変だったと思われるが、それぞれの座席で、それぞれの時間がしっかりと演じ続けられていた。虚実が激しく入れ替わり、何が真実か、最後まで明かされない部分も残されたが、そこは観客がそれぞれ想いを馳せればよいところ。普通は噛ませ犬ポジションで終始することになりがちな、だんすさん演じるキャラクターにも、しっとりとした見せ場があったのもよかった。「雨のち晴れ」では、格闘家役を演じていた天野きょうじさんは、そのルックスを生かして、フランケンになり切って笑いをもっていってしまうのがすごい。
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