~熱風の果て~

観劇の記録

LADYBIRD,LADYBIRD(アリーエンターテイメント)@シアターグリーンBIG TREE THEATER

【演出・脚本】早川康介

【出演】葛岡有、安島萌、東将司、堀田勝、平山佳延、迫英雄、吉田天音、玉井萌黄、吉田菜々、リチャーズ恵莉、中村楓菜、舟久保美咲希、今村貴空
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毎年の上演を重ねて6年目となるグリーン・ミュージカル「レディバ」。テントウムシの「アン」の3代目として、ハーベストの葛岡有さんが主演を務めた。虫かごの中のムシたちという舞台設定や、子供たちが多く出演するミュージカルということで、明るく楽しく健全な作品を想像していたら、そんな単純なものではなかった。
大人になること、生き方を決めること、誰かを思うこと、死ぬことのペーソスを、虫たちの姿を借りて、シニカルさも交えて紡ぎ出す。子供向けとか大人向けとかは関係なく、むしろ子供たちが多く見る作品だからこそ、甘い皮で包むようなことをせずに、この世界や人生の本質をまっすぐに伝えようとするような、真摯なつくりの作品だった。いつか、子供たちが人生に悩んだ時に、この作品のことを思い出すときもあるだろう。大人たちにもグサリと刺さるような場面はいくつもあったし、子供たちも集中を切らすことなく、静かに舞台を見ていた。子供たちが演じるムシたちの可愛らしさや華やかさはもちろんのこと、大人たちの確かな実力と稽古に裏打ちされたコミカルな演技や歌の力も大きく、飽きさせることのないつくりだった。ミツバチの4姉妹をはじめ、子役といってもみんな演技力が高い。
葛岡さん演じるアンは、前半はどこまでも素直で無垢な感じで、ハーベストで演じた「鉄のあ」役に近い感じかと思って見ていたが、終盤にはその裏に隠された寂しさや本音の部分まで、演技の幅を見せつつ、歌唱も安定していて、見事に主演を務めあげていた。ハーベストでも、今後もきっと新しい面を見せ続けていってくれることだろう。
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