~熱風の果て~

観劇の記録

天使の図書室5~ほっこり❆ホワイトクリスマス~(女神座ATHENA)@コフレリオ新宿シアター

【脚本・演出】山口喬司

【出演】岩村なちゅ、高塚夏生、橋本瑠果、山川ひろみ
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女神座ATHENAのリーディングライブを見るのは、昨年2月の第2弾、今年1月の第3弾に続いて3回目。いまだに女神座ATHENAというと高田馬場のイメージが強く、今回も当日ラビネストに向かおうという途中になって、ようやくコフレリオが会場であることを思い出した。
このシリーズは、毎回、季節に合わせて題材や衣装を選ぶのが恒例になっていて、今回は当然クリスマス。暖炉と本棚を模したセットを背景に、4人の演者は赤と緑のメルヘンチックなクリスマス柄のワンピースとローファーに身を包んで、クリスマスをテーマにした3つのお話しを読んでいった。
1本目の時計職人の話と、2本目の見習いパン職人の話は、どちらも、自らの利益よりも、目の前の困っている人に対しての利他的行動が、幸福な結末をもたらすというもの。緊迫した展開やどんでん返しといった派手な部分はなかったが、リーディングであれば、このくらい優しい方がいい。2本目のような、実際の歴史の1ページにフィクションを絡めるような形は好きな分野だ。3本目はキャスト総登場で、クリスマスらしいサービス精神が感じられる楽しいお話し。女神座でマイクスタンドが出てきて合唱シーンが見られるのはとても珍しい。山川さんが歌う姿を見たのは初めてかもしれない。
リーディングライブにも皆勤の山川さんは、「読む」部分だけでなく、台本から顔を上げたときの表情や、シーンに合わせて時に重く時に軽やかに運ばれる歩行での表現など、トータルの表現力の高さが魅力的。様々なキャラクターを演じるところが見られるのも、リーディングライブならではで、カエルやハトのコミカルな声色も交えて、ときどき声がひっくり返るところも含めて、彼女の世界を作り上げている。いつもは庶民的な役が多い山川さんのお姫様役が見られたのも貴重だった。
山川さん以外の3人の出演者は、それぞれアイドルグループで活動していた人たちで、初めてお目にかかった。元ぱすぽの岩村さんは柔らかい雰囲気の持ち主で、無垢な少女と我儘な妹キャラの両方とも味が出ていた。27歳という年齢を知って驚いた。元アイドリングの橋本さんは、上品で凛とした雰囲気を活かして、セレブなお嬢様感やお姉さま感を醸し出していた。元SKEの高塚さんは、フライヤーの印象とは違って、衣装とお揃いで髪を赤く染めての出演。岩村さんとは逆に、18歳という実年齢よりも大人っぽく見え、お爺さんや王様の役を与えられていたように、低めの声で落ち着いた演技で持ち味を出していた。
女神座ATHENAの2018年は、リーディングライブが3回。本公演は、昨年9月の「聖餐のプシュコマキア」が最新作となっているが、来年は、新しい作品を本公演で見られることも期待したい。
これで2018年の観劇おさめ。今年は、出演者だけでなく、作風や劇団の合う合わないも気にしながら見に行く作品を選んでいたつもり。そのため、少なめかと思っていた観劇作品数だが、終わってみれば32を数えた。応援している役者さんの関係では、今年いっぱいで仁藤萌乃さんが芸能界を引退、さいとう雅子さんが芸能活動を一旦お休みということでは寂しさがある。一方では、飯田ゆかさんが2年ぶりに舞台の世界に復帰するという嬉しい出来事もあった。もちろん、山川ひろみさんのように、長年地道に活動を重ねて、実力と経験を積み上げていっている方たちのことも尊敬する。来年も、良い作品や役者さんに出会えることを願いつつ、マイペースを崩さないように、観劇ライフを送っていきたい。
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