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~熱風の果て~

観劇の記録

DANCE! DANCE! DANCE! 踊りが丘学園~これが私の舞活動~(アリスインプロジェクト)@シアターKASSAI

【演出】扇田賢、【脚本】三井秀樹

【出演】加藤智子山田澪花、秋山ゆずき、水月桃子、田沢涼夏、花梨、矢野冬子星優姫、青柳伽奈、黒木ひかり、仲野りおん、原田真帆、渡辺菜友、渡壁りさ、民本しょうこ、ROSE、永山杏佳、陽向海真珠、幸野ゆりあ、元谷百合奈、中神明日香、最上みゆう、相馬ふうな、勝田麗美、山田香織、未来みき
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扇田さん率いるBobjack Theaterの本公演以来となるシアターKASSAI。その「ノッキンヘブン」と同様、2回の週末を迎える長い上演期間が設定された「踊りが丘学園」。チケットの売れ行きはなかなか好調で、発売初日には既に千秋楽は売り切れとなっていたので、最初の週末で見に行くことにした。客の入りは上々で、開場後間もなくでほぼ座席が埋まる出足の良さ。まだ完成度としては温まり切っていない段階かもと心配もしつつだったが、前半戦にして、早くもセリフのないところでの演技などに工夫と遊びが出てきているという踊りが丘学園。1週間後の千秋楽に向けて、ダンス力が更に上がっていくという期待が持てる、パワーあふれる舞台だった。
ダンスで雌雄を決する学園という設定なので、ダンスの場面が上演時間の半分ほどを占める。バスケ、テニス、アニメ、メイド、鉄道と、それぞれの部活の個性を活かしたビジュアルとダンスを見るだけでも十分楽しめる。そのぶん展開や人間関係は通常の舞台作品と比べれば圧縮されたものになるが、しっかりと起承転結できれいにまとまっていた。
脚本の三井秀樹さんの名前は、元ラッシーフリークな自分としては、やはり何と言っても1996年に放映のアニメ「名犬ラッシー」で数話分の脚本を書いていた人として認識している。数字が全く取れずに半年で打ち切りとなり、後半のロードムービー構想は水泡に帰し、最終回はテレビ放映すらされなかったという不遇の作品ではあるが、日常描写の妙は名作劇場の最後の意地を示したもの。それを監督として手掛けた片渕監督が今、映画作品で注目されているというのも嬉しいことだ。
主演の加藤さんとは、「46億年ゼミ」から2作連続での顔合わせ。気品ある白マリアとガラリと変わって、高校の制服姿にお下げ髪と瓶眼鏡。SKEでも確か年上の方だったはずと生年月日を調べると、今年の4月で30歳を迎えるとのことだが、女子高生役もなかなか似合っていた。AKBで言えば、片山陽加さんに近いイメージ。カーテンコールではさすがに年上の余裕を見せて、周りの出演者の話を司会者のように引き出していた。
ダンスで目立っていたのが、ダンスバスケ部員の巧美役のROSEさん。丸顔で幼さも残るルックスに似合わず、ソロダンスの場面ではアクロバティックなキレキレダンスを見せていた。劇場前には重盛さんからのスタンド花が飾られており、どういう人なんだろうと調べてみたら、重盛さんに憧れて同じ事務所に入って、同じユニットで活動中とのこと。その重盛さんと事務所の後輩との間での争いでは、未成年ながら敢然と重盛さん側に立って大立ち回りを演じたということで、そういう熱さや気の強さも含めて気に入った。後日、もう一度この舞台を見に行ったときに、劇中、ふと入口近くを見ると、ものすごい笑顔で舞台に見入っている女性が目に留まり、さらにカーテンコールでは茶々を入れたりしていたので気になっていたら、その人こそが重盛さんだったらしい。
ダンスバトルが巻き起こる場に忽然と現れ、消えていく謎の「ダンス愛好会」。全てがダンスの学園にあってダンスとはこれいかにと思ったが、ダンス部が様々な事情があって愛好会に格下げになり、ダンスの実況と解説をする役回りに落ちてしまったという設定。舞台最前の両側にお立ち台が設けられていて、ダンス愛好会の二人はそこで喋る場面が多かったのだが、十和子役の花梨さんによるダンス実況がお見事。よく通る声でスラスラとダンスバトルの状況を伝える名実況に聞きほれてしまった。表情やお立ち台で踊っている姿も、部室でやさぐれている姿もまた可愛らしかった。屈折した思いから暗黒面に堕ち、学園の支配を目論むダンスサイエンス部。その思いをさらけ出し、カタルシスへと至るラストシーンは見どころ。サイエンス部部長役の秋山さんは、目に涙を浮かべながらその思いを表現していた。悪役の場面では高笑いが憎らしく、オープニングなどでは笑顔で可憐に。その振れ幅の大きさが魅力的だった。扇田作品にはしばしば登場して怪演には定評があるという民本さん。今作ではアクの強さが全開で、その本領を遺憾なく発揮。途中からは出てくるだけで笑いが起きるほどにしてしまっていた。
今回は扇田さんの演出というのがいちばんの観劇動機で、誰の名前でチケットを買えばよいか迷っていたところ、出演者の顔写真を見る中で目に留まったのが、星組の鉄道部員こだま役の山田香織さん。実際に舞台で見ると、思いのほか小柄で童顔。演技では名前を言い間違えてしまうという失敗もあって、そこで笑いが起きたのは本意ではなかったと思うが、鉄道部の下級生役として、踊りに鉄ヲタ的掛け合いにと頑張っていた。