~熱風の果て~

観劇の記録

The IMMORTAL OPERATION(K.B.S.Project)@高田馬場ラビネスト

【脚本・演出】山口喬司

【出演】川崎優作、山川ひろみ、森田猛虎、成島有騎、中野将樹、尾形卓哉、鴎佐和志孝、富田千尋出野泉花、見上瑠那、長澤純平、ジョセフ一樹、山口喬司

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第10作の「てんいちっ」以来、8作品ぶり2回目のK.B.S.Project観劇。中野さんや森田さんなど、「てんいちっ」で名演を見せていた人たちも出演する今作、舞台の質に関しては行く前から安心していられた。
舞台となる「捜査I課」の訳あり刑事3人組の渋味と凄味とバカらしさが混ざり合ったあくの強い個性が収まり知らず。こんな職場は嫌だと思いつつ、少し動くだけでどこか可笑しいところがあって、目が離せなかった。そして、その強烈な個性に、初舞台の川崎優作さん演じる新米刑事・観島が、役柄としても役者としても汗だくになりながら、気持ちよく正面からぶつかっていくものだから、そこに不思議な火花が散って煌めきが生まれる。若手俳優だけの舞台では見られない光景だ。
それをクールに無表情に見つめる化学班刑事の山川さんがその光景をより引き立てる。低い冷静な声で笑顔は決して見せず、素の彼女とは違うであろう雰囲気の役を見ることができてよかった。カーテンコール後の挨拶は、細い声で少しおたおたと、いつもの感じで安心した。女神座ATHENAの「アレスレベリオン・タウ」にも出ていた見上さんは、中学3年生ながら、ランドセルを背負わせれば小学生以上に小学生に見えるし、喋ればなおさら。今後の舞台での成長が楽しみなような、変わってほしくないような。
刑事もので、最初の殺人事件の解決はプロローグ的なものかと思いきや、伏線は敷かれていた。場面場面で見せ場や笑いどころがあり、後半は迫力のあるアクションもあり、謎解き要素も。そこに200年以上の時代を翔けるスケールの大きさも加わりつつ、破綻はない。尾形さん演じる殺人鬼は、着物をまとっただけで一瞬で源内になる。源内は、もし、おなじみのあの肖像画が残っていなければ、こんな感じの破天荒なキャラクターとして描かれることが多かったのではないだろうか。終幕ではさらに20年の時が流れ、事件の真の黒幕は明かされず、想像する楽しみも、続編の可能性も残る。観島が事件解決後、なぜ不老不死の薬を欲しなかったのかといった辺りにも興味が残る。
K.B.S.は「喬司の舞台は素敵だな」の頭文字。そのとおりの作品だった。千秋楽でも余裕のある客入りではあったが、舞台の質と比例するものではない。予定外のカーテンコールも必然だった。全通特典の代償なのかそれでも寝る人は寝てるわけだけれども。来年5月頃の次回作は、新劇場で行われるとの予告があった。高田馬場の雰囲気の良さを残しつつのバージョンアップに期待したい。