~熱風の果て~

観劇の記録

源's egg(LOVE&FAT FACTORY)@下北沢・楽園

【作・演出】ゴブリン串田

【出演】椎名香奈江、斉藤有希、猪股彩佳、松樹侑奈、235、橘あるひ、清水智未、小名木美里、杉山裕紀、新岩正人、木村俊之、藤守祥子、中村ゆうすけ、ゴブリン串田
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男女逆転の「おじゃる系コメディ」と題された今作。
得意気になる様子を「おじゃる」という動詞で表したり、百人一首などから引いてきた古語を、本来の意味に限らずにセリフの中に散りばめて、なおかつそれが何となく意味が通じてしまうのがいとをかし。和歌とロックを融合したり、歌合わせバトルを展開したりと、時代の枠にとらわれない自由な雰囲気が作り上げられていた。
男女逆転は、男性陣が女性に扮する方は、「凄少納言」を筆頭に、艶めかしさと凄まじさが同居する迫力があって成功だったが、主役の椎名さん演じる輝輝は素の女性らしさをかなり残していて、アイドルに男性を演じさせるところでの遠慮が働いていた。結果として、男性陣演じる女性と女性陣演じる男性との対比が弱かった。主演の椎名さんは、歌合わせバトルの実演ではアイドルとしての恥じらいを捨てて全てをさらけ出せる人なので、もう少しビジュアルの面でも冒険があってもよかったのではないかと思った。
家と家ではなく人と人の関係に気づくことで、ディスり合い争うことに終止符を打つ、というストーリーは、現代の様々な場面に照らすことができるメッセージ性があったが、行動の動機付けとか、苦悩とかの掘り下げがもっと描かれてほしいとは思った。
今回は最前に座っていたら、橘さん演じる源頼朝にロックオンされ、扇子で叩かれるという有難い経験ができた。「君が予む物語」で最前の観客が橘さん演じる小学生にスリッパで叩かれるのを見て、哀れんでいたものだが、自分がその役回りを演じることになるとは・・・。源氏・平氏藤原氏が劇中に登場していたので、橘さんの出演で、名門四家がここに揃ったことになる。何とも可愛らしい棟梁ぶりだった。できれば歌合わせバトルの実演も引き受けてほしかったが・・・
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