~熱風の果て~

観劇の記録

サラバ(こちらスーパーうさぎ帝国)@テアトルBONBON

【作・演出】白柳力

【出演】カネコサチエ、寺山武志、渡辺ありさ、免出知之、吉田拓郎、小倉百代、西岡大輔、安田惣一、佐々木いつか、加藤圭貴、濱口啓介、前田峻輔、釜野真希、白柳力
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2011年版、2012年版と相鉄本多劇場で観劇した「ポチッとな」のオリジナル版を演じていた劇団である「こちうさ」。今回の舞台では、テニス部員カネコさん、ハセコン寺山くん、副会長と矢沢愛美のありさたん、ムラタク吉田さん、書記の西岡氏、会長前田氏、ヒロタン釜野さん、と劇団員と客演陣あわせて、2回の「ポチ」で目にしたことのある顔が過半を占めていた。
うさぴょんことありさたん演じるは、アンドロイド・安藤ロイ子。アンドロイドものといえば、活動を開始してみると持て余し、結局共生することが困難になる・・・という悲劇的な結末に持っていくのが容易な題材だが、この作品では少々異なる経過をたどった。ロイ子は、制作者たちが心の裡に錆付かせていた純粋な望みを直接表現する存在。大人たちが熱い気持ちを思い出していく様子がテンポよく笑いの中に映し出される。それが主題をきちんと持たせた上でのことなので、中だるみすることなく、舞台の世界に没入することができた。
ロイ子は、稼動からわずか数日でロケットに縛り付けられて宇宙へと打ち上げられてしまう。そんな展開でも、騙されて厄介払いというような悲劇性は一切なく、希望だけが感じられた。アフタートークで、劇団員のような顔をして実は客演だった吉田氏が、白柳氏と「こちうさ」の成長を語って突っ込まれていた。勢いだけだった昔日の姿から脱皮して、テーマ性を語れるようになってきたということらしい。この劇団の作品は、機会があれば、また別の作品も見に行ってみたい。
ありさたんは、前半は生首状態だけの出番・・・アンドロイドだから「生」ではないか。本番1週間前まで、台詞がない部分までしか脚本が出来上がっておらず、本当に出番があるのか不安だったというありさたん。完成後は、これまでの舞台で聞かせたことのない、甲高い声を響かせて無垢な思考回路を存分に表現していた。