東京俳優市場@笹塚ファクトリー
蕨
【作・演出】伊勢直弘
【出演】会田未来、飯豊まりえ、金沢華子、小池真吾、齋藤皓允、富山篤、南伊、日野ありす、丸若薫、吉田怜菜
各事務所推薦の若手俳優が会する登竜門的な公演である俳優市場に、サラエンタテインメントから荘司里穂たんが登場。3本のオムニバス形式で、クリスマスを舞台に、若者たちの少しだけ奇妙な日常が繰り広げられた。タイムスリップもバトルもない現代劇が久しぶりだったので、そのようなリアルな日常が舞台で演じられるということに逆に違和感を感じてしまった。
里穂たんの舞台は、「石川幸子」、「空隙」、「ヴェッカーΧ」に続いて4作目。「石川幸子」での衝撃の出会いから、今のところは全て追えている。5姉妹の末っ子役を、持ち前の愛嬌と素直さをストレートに出して、自然体で演じていた。クリスマスの飾りつけをするという行動はヴェッカーΧの砂姫ちゃんと一緒だった。元ヤン4女役の長谷川あかりたんは元てれび戦士。彼女が出ていた頃の天てれは全く見ていないが、元ドロシーの美知代たんと同時期に活動していたというのは興味深い。
3話目の「蕨」は、埼玉県蕨市が舞台。読めても書こうと思わなければ書けるようにならない「蕨」という漢字を、人間同士の距離感に当てはめるという発想が独創的。福も鬼も立ち入り禁止区域だとの悲痛な叫びは、今年の震災が、演劇の世界に大きなインパクトを与え続けることになるということを予感させた。