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~熱風の果て~

観劇の記録

SKE48チームE出張公演「逆上がり」公演@AKB48劇場

【出演】磯原杏華上野圭澄内山命梅本まどか金子栞木本花音小林亜実斉藤真木子、酒井萌衣、柴田阿弥高木由麻奈竹内舞都築里佳原望奈美古畑奈和山下ゆかり
これまで、肉眼での接点といえば、3年前のつき奈たん卒業公演くらいしか思い当たらないSKE48。媒体を通しても、オリジナル公演のCDと名曲「片思いFinally」のCD、そして「Innocence」を数え切れないくらい再生したS2公演のDVDくらい。アイドルをメディアに追う習慣がない以上、好き嫌い以前に興味のテーブルに乗っかってこないのも仕方なかった。
ましてやチームEともなると、いつデビューしたとか、何の公演をやっているか、ということも知らなかった。チームEのメンバーで名前と顔を知っていたのは、じゃんけん中継に出ていた花音たんと高木さんとかすすさん、わかにゃんと仲良しの真木子さん、キット原さん、レッズサポ金子栞たんの6人、という状態での観劇だった。
生で見るのは2.21以来となった「逆上がり」公演。個人的には相性が良いとは言えない公演なのは確かだが、メンバーも碌に知らないチームEの出張公演に申し込んだのは、久しぶりに「逆上がり」公演を劇場で見たいという思いも大きかった。K5でコンセプトが迷走を続けた冒頭の寸劇と中也はカットされるのかとも思ったが、チームEでも行われていた。
曲もさることながら、衣装も挑戦的で従来のAKBらしくなかったK5公演。中盤戦の赤青衣装はコルセット付きの清楚な衣装に、アンコールの白黒衣装は白を基調とした露出の多い衣装に変わっていた。曲に合っているのはK5衣装だけど、どちらが見たいかかと言われればチームE衣装。「ファンレター」の衣装もK5とは似て非なるものだった。
顔は知っているメンバーも、パフォーマンスを見るのは初めて。いちばん驚いたのはエースの花音たん。存在しているだけでも圧倒的なアイドルオーラを醸し出している。かと思えば、「逆上がり」での細かく大胆なステップ、可動域の大きな首を大きく動かせばつられて大きく靡く柔和な髪、迷いを微塵も感じさせない、気持ちの入った表情。「わがままな流れ星」のようなアイドル性を求められる曲はもちろんのこと、「否定のレクイエム」や「ハンパなイケメン」といった複雑な感情を表現する曲や大人っぽさを表現する曲でも、動きの質、表情の質の両面で目立っていた。普段から表情が大げさという彼女。ステージ上でも表情の豊かさが大きな武器になっていた。総選挙の順位はそれほど伸びなかった彼女だが、劇場で見る限りは、名実ともにエースの器。AKBグループのセンターを張ったとしても何らの遜色もないように思えた。
もう一人のエース、金子栞たんは、埼玉出身のレッズサポということで注目はしているのだが、やはり「天然キャラ」は苦手。前半4曲では、出張公演ということもあってか、漲る気迫を前面に出してくるメンバーが多い中で、彼女はいたってマイペースのように見えた。自己紹介でも滑り気味で、印象が悪くなりかけたところだったが、ユニットの「抱きしめられたら」で初めて曲とパフォーマンスの一致が感じられた。これを境に後半はかなり良くなったのが分かった。彼女なりに緊張と戦い、精一杯の力を出そうとしていたことは、「TBC」で潤ませていた瞳に窺うことができた。
顔を初めて見たメンバーでは、気の強そうなさっぱりとした面相の持ち主である、りかちゅうさんの個性が面白かった。少し生意気そうな気合の乗った表情は見ていて気持ちがいい。コスプレ好きもアピールしていた彼女。こういう個性もチームの中には必要だ。
メンバーの中で最も年下のようにも見えた柴田さんは、何と大学2年生。斎藤亜美さんに似たような幼いルックスなので、19歳には見えなかった。モデル的ルックスの高木さんでさえ19歳には見えないくらいだった。SKEはAKBと違って黒髪を維持しているメンバーがほとんどなので、AKB基準からすれば年齢が下に感じられる。
「虫のバラード」は山下さんのソロ。衣装は黒一色を基調としたもので、才加とは違っていた。才加と比べるべきではないかもしれないが、絶望からスタートして激しさの中に真理を悟り、心に平安が訪れる・・・という変化を表現するという点では、山下さんはまだ物足りなかった。このあたりは、身体を使った迫力にハンデがあっても十分克服できるはず。マイクスタンドを蹴り倒し、脚で拾い上げるというのは才加にはなかった表現。少しでも荒々しさを表現しようという工夫はよかった。
一度見ただけで、ほぼ全員の見分けが付くようになった。ただ、自己紹介は名前が聞き取れない子も何人かいたので、初見客向けに、ゆっくりと名前を言ったり、自己紹介キャッチの解説をしたりしてくれた方がよかったな。可愛い声の持ち主であるリーダーの梅本さんやたかみな的滑りキャラの真木子さんに太めキャラの原さんなどなど、個性も多彩。13期研究生のときはこうはいかなかったことを思えば、チームEには、アイドル性よりも個性で勝負することができそうな、チームKに似た強みも感じられた。AKBでは失われた「チーム制」が生きているということは、メンバーにとっても応援する側にとっても幸せなことだ。
MCでは、ほとんど名古屋のイントネーションが聞かれずに少し残念。いまどきの名古屋だとこんなものなのかな。むしろ、三重の竹内さんや大阪の真木子さんの関西系のイントネーションが目立っていた。
観客の立場としては、久しぶりに純粋に公演を楽しめたような気がする。AKBの公演に対しては、やはり少なからず冷めた気持ちに侵されていた。公演を見るにしても、無意識的にせよ批評する点を探しながら、というところがあったことは否定できない。純粋に向き合えれば公演はより楽しいものになる、という原点に気づかされた点でも、今日の出張公演には収穫があった。
チームEのメンバーにとっても、自分たちの存在を全国にアピールできるまたとない機会である出張公演。一貫して存分の気迫をもってセットリストを演じ、MCでは自然体での個性を発揮していた彼女たちにとっても、大きな収穫のあった公演となったのではないかと思う。