~熱風の果て~

観劇の記録

AKB48(チーム4)「手をつなぎながら」公演@AKB48劇場

【出演】相笠萌岩立沙穂梅田綾乃岡田彩花岡田奈々北澤早紀小嶋真子篠崎彩奈高島祐利奈土保瑞希西野未姫橋本耀福岡聖菜前田美月村山彩希茂木忍
華やいだ雰囲気の街をいくつか通り、秋葉原の劇場へと向かう午後。神田明神にメンバーが集まるようになったのは、優子たむ世代の2009年からだったか、その前からだったろうか。今年の新成人は、れいにゃん世代。AKBのメンバーに関しては、最初に会ったときの年齢のイメージがどうしても強い。れいにゃんと初めて会ったのは、彼女が13歳の時分。それが新成人を迎えると聞いても、7という数字だけではギャップを簡単に埋めることができない。新成人たちが皆そろって振袖を着ているのを見ると、艶やかな印象と共に、どことなく歪つな印象も受けるが、来年は当然さっほーも振袖を身に纏うものとして楽しみにしている己がいる。
昨晩、「久しぶりにこんなに悪い」と、体調不良を訴えるモバメを送ったさっほー。解熱して臨んだ今日の2回公演だったが、夜公演では、「手をつなぎながら」、「ロマンスロケット」、「恋の傾向と対策」、「大好き」、「火曜日の夜、水曜日の朝」を欠場。「大好き」と「遠くにいても」以外の全体曲は、全て激しく踊らなければならないというのも、体調不良の彼女にとっては辛かったはず。その「大好き」にも出て来れなかったところに、相当ぎりぎりの状態で出演していたことが受け取れる。
さっほーの体調を気にしながら、漫ろになる心を抑えかねた今日の公演。出演曲では、体調の悪さを表に出さなかったのはさすがの根性。自己紹介MCでも、出番が限られる分をカバーしようというのか、積極的に発言する姿が見られた。初めて見る、さっほーがセンターの「この胸のバーコード」では、眼差しで、歌詞の中で見ているであろうものまでの距離感をきちんと表現していることが分かった。ハイタッチは当然欠席。「遠くにいても」が終わって退場する彼女と目が合い、ジェスチャーでコミュニケーションも取れたが、やはり申し訳なさそうだった。
土保さんは、親子揃って、ゆーりんを尊敬しているとか。「高島さんのことをよく見てきなさい」と言う、土保さんの親御さんの意見には全面的に同意!センター以外でのこの公演の見どころとしては、迷わずゆーりんの「雨のピアニスト」と「Innocence」を挙げる。「雨のピアニスト」は初日から良くて目を瞠らせたが、初日からの間に、表情を押さえつつ感情をより豊かに表現する方向に進化していた。MCではいじられていた自撮りでの決め顔も、曲中では武器になっている。典型的な褒められ伸び子の彼女は、今日の土保さんの発言でさらに自信をつけてくれるだろう。
決め顔の強みを自覚して、ステージでこれでもかと自信のある表情を見せつけてくるなぁちゃん。「雨のピアニスト」は、ゆーりんの表現の方向性が変わったことによって、ユニットとしての完成度が増した。岡田ちゃんは相変わらず中学生とは思えない、大人の女性らしい堂々としたパフォーマンスを見せている。顎周りなどはもう少し絞れればという感じはするが、序盤曲などでは、「パジャマドライブ」公演では見られなかった晴れやかな笑顔を保っているので、ステージを通して岡田ちゃんの様々な表情を堪能することができる。
「チョコの行方」後MCでは、ぴっかりんとみっきの14期コンビの奔放さが、効きすぎるくらいのスパイス。みっきはその後のMCでもゆーりんをいじったりして笑いをとっていた。言っていることはよく考えるときつくても、悪意や計算ではないので、素直に笑える。みっきのステップはまだ危なっかしさは残っているが、年明けのチーム4によるANNを聴いていても、キャラクターは確立されつつある。「チョコの行方」も、みんな幸せそうな笑顔で、見ていても自然と笑顔になってしまうくらいだが、YAKI-MOKIしている感じがもっとあった方がいいかな。
お正月太りを気にしていたゆいりーは、見た目ではほとんど気にならない。彼女の目標は、ゆきりんと「てもでも」を演じることらしい。ゆきりんが研究生公演に出演したときの相方は、なっきーだったのかな。しかし、「佐伯さん」の名前が出るといまだにドキッとしてしまう。4年前の成人式では、彼女も無事に振袖を着ることができていたようでよかった。
パジャマドライブ」ではテンションの低さが気になった岡田ちゃんやうめたんも吹っ切れ、こじまこやあやなんは、箸が転んでもおかしい年頃といわんばかりのテンションの高さだし、みきちゃんの感情を溜めるときとそれを一気に爆発させるときの鮮やかな対比など、それぞれが個性を発揮している。そんな中で、少しだけ気になっているのが、もえちゃん。「RESET」公演で、りょんりょんとダブルセンターを組んでいた頃の強烈な印象を思い返すと、チームの一員として全体に組み込まれているような、今の彼女の姿には物足りなさも感じる。あの頃と比べ、背が大きく伸びたということも、切れ味を鈍らせている面があるかもしれない。14期生へのライバル心を持つ彼女は、もう一度チャレンジャーとして、がむしゃらにやってもいいのではないかと思う。
「GLORY DAYS」のバックダンサーは、アンダー出演をしていない15期生たち。仮研究生から昇格した子もいたということもあるが、まだバックダンサーだけでは顔と名前を完全に一致させることができない。チーム4が結成されて、15期生からは、またばらばらに各チームに昇格していく時代になっていくのだろうか。研究生公演が消滅したこともあわせて、15期生は難しい時期を過ごしている。
「遠くにいても」前の、チーム4のドキュメント的な映像は、初めて見るわけではないのに、やはり目が熱くなる。西の方では、チーム再編の話も聞こえてくるが、継続的に同じひとつの物語を経験することが、何物にも替え難い財産であることも忘れないでほしい。