~熱風の果て~

観劇の記録

「パジャマドライブ」公演@AKB48劇場

【出演】相笠萌岩立沙穂梅田綾乃、大和田南那、岡田彩花岡田奈々北澤早紀小嶋真子篠崎彩奈高島祐利奈西野未姫橋本耀前田美月峯岸みなみ村山彩希茂木忍
長いドームツアーを経て、通常運転の劇場公演スケジュールに戻ったAKB48。しかし、ツアーの間に、13期、14期生たちの立場は大きく変わった。自己紹介では、「13期け・・・」とか、「13期研究生の・・・」と、思わず以前の立場で名乗ってしまうメンバーも見られた。セットリストは引き続き「パジャマドライブ」公演だし、「チーム4公演」でもなく、アンコール1曲目はいまだに「レッツゴー研究生」なのだから、まだ実感が湧いてこないのも仕方ない。
つぼみが膨らんだ状態で時間の問題となっていたさっほーの昇格。昨年の秋くらいに、「3月頃には大学合格と昇格をダブルで祝えるだろう」と漠然と期待していたよりは少し遅かったが、苦労を共にしてきた13期、14期の研究生公演メンバーが揃い、16人の子猫ちゃんたちにより新チームが結成される、というのは、己が考えていた中では、理想に近い形だ。現行の3チームへばらばらに昇格させるには、余りに惜しいと思えた研究生公演。それでも、形を保ったまま咲かせることは難しいだろうと、己はどこか悲観もしていたが、見ている人はちゃんと見ていた。
MCで手を挙げて順に発言していくまでもなく、次々と話が広がっていったり、メンバーに感謝の気持ちを伝えるというお題をもってきたりと、チームとしてよい方向に向かっていることは、今日の舞台からも伝わってきていた。それにしても、才加の影響力は、直接話をするわけでもなくても、後輩に伝わるほど強力なものなんだな。才加と一緒のステージに立つことができたということだけでも、今日の出演メンバーたちにとっては貴重な体験と言える。
今日の公演で昇格したことが分かりやすく意識できるのが、自由にアレンジすることが可能になった髪形。昇格後初の公演出演となったさっほーは、くるくるツインテール。メンバーからはだいぶいじられてしまっていたが、これまでの、ほぼそのまま下ろしただけの髪形よりも、アイドルオーラが倍増していた。こうしていじられるというのも、さっほーの個性だし、今日の髪形は定番のひとつに加えてほしい。研究生時代の、個人としてどうするかというところから、昇格に伴って、チームのためにどうするかという視点が芽生えてきたさっほー。定評のあるセルフプロデュース力を自分のためにもチームのためにも活かしていってくれるだろう。
だにゃんこと岡田ちゃんは、猫耳ヘアー。1公演もたないのではないかと思ったが、意外と最後まで崩れなかった。しかし、「ジャンヌダルク」との相性はすこぶる悪い髪形だな。努力を人に見せたくないという岡田ちゃんだが、ステージ上での振舞いは、どんどん誤解を招くような方向に行ってしまっているように見える。少なくともステージ上からは、彼女が目指すゴールは見えてこない。
みきちゃんは、二つに結んだお下げ髪で、ますますまゆゆにそっくりになってきた。まゆゆがゲスト出演している、と言われたら、信じてしまったかもしれない。子供らしくはしゃいだり、曲中の表情の大きさは、まゆゆとは異なる、みきちゃんならではの魅力だ。今年に入って、AKBでは研究生推しの風潮があるが、彼女は決して風に乗っているだけではなく、風を起こす種類の人間だ。
みきちゃんと並んでパジャマドライブ公演のセンターを張るなぁちゃんは、劇場公演のことを誰よりも考え、積極的に引っ張っていっているらしい。自分の顔のパーツにいちばん合った表現方法を知っているかのように、鋭い眼と、それを控えめに近くから覆う眉を駆使するなぁちゃん。チーム4が誇るダブルセンターは、まだまだ成長を続けている。しかし、日に焼けるのが嫌で外に出たくないからと、同期とのTDS行きを無下に断るなぁちゃんはすごい。14期生は、適度に個人主義を確立しつつも、お互いを意識して固く結びついているという、少し不思議な関係性を持った期になっている。
13期生で、昇格を機に変わったなと思わせてくれたのが、昇格の際に名前を呼び忘れられてしまったというあやなん。笑顔も苦悩も真剣な表情も、これまでよりも吹っ切れたように、自信を持って表現しているように見えた。
200回目の劇場公演出演だったらしいさっきーは、これまでと髪形が変わっていないようにも見えるが、編み込みのアレンジが加わった。昇格までのろりんになってしまわないかと、少し心配もしていたが、周囲に流されずに自分のペースで歩んでここまでたどり着いた。周囲の成長スピードが速いので、ステージ上での表現力という点では、さっきーは一時期のアドバンテージが薄れてきてもいる。最近はマイペースなだけでなく、もっと自分を見てもらいたいという欲も表に出てきているので、存在感をアピールしていってほしい。
キャプテンに就任したみぃちゃんは、髪の毛が伸び、ウィッグを手放し、地毛のベリーショートで公演に出演。これが実によく似合っていて、不覚にも今まででいちばん可愛らしく見えてしまった。公式の肩書きなどなくても、既にこのチームでの立ち位置を確立していたみぃちゃんだが、肩書きを得たことで、更に一歩引いたような落ち着きが感じられた。曲中にも、穏やかに周囲を見守っているかのように見えた。
15期生の大和田さんのことは初見。今後、15期生がチーム4とどういう関係を持つようになるかにもよるが、13、14期と比べると、己にとっては、劇場公演で見る機会は当面は多くなさそう。昇格もそうだが、こういう個人的な縁というのもタイミングが大事だ。大和田さんは、美香ちぃポジで「てもでも」も演じていたが、これまでに己が見てきた「てもでも」とは、余りに違いすぎた。それを思い出すことによって、彼女の成長をしみじみと感じられる日が来るときのために、今日の姿は覚えておきたいと思う。
「白いシャツ」の後は、劇場初披露となる「青空カフェ」。32枚目のシングルは、この曲ばかりをリピートして聴いていたところだったので、既に耳に残っている曲。初めて見る振り付けは、歌詞を最もストレートに表現したもの。その素直さ、控えめさが、フレッシュな彼女たちのイメージとぴたりを合って快く、爽やかなそよ風が感じられた。
ほぼ2か月ぶりの劇場公演を体感すると、メンバーの勢いを肌で感じ、昇格の嬉しさを共有しているかのような、満足感に溢れた。やはり己にとってのAKBは、劇場に入って、生の空気の中で身近にメンバーを感じることを抜きには考えられないということを改めて思った。さっほーが昇格するということは、劇場で会える機会が大きく減ってしまうことも意味すると覚悟していたが、チーム4の結成はそんな心配も和らげてくれた。
ただ、9期生中心のチーム4の轍を踏まないためには、やはりチーム4のオリジナルセットリストが欲しいな。チーム4にオリジナルが回ってくるにしても、相当長い時間が必要と見込まれる中、どういう動きが出てくるのか、今は不安も大きい。ウェイティング公演やレジェンド公演でお茶を濁すのは勘弁してほしい。