読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

~熱風の果て~

観劇の記録

GIRLS COUNT DOWN!(劇団ハーベスト)@赤坂元気劇場

【脚本】田中大祐、【演出】中村公平

【出演】山本萌花川畑光瑠青山美郷若菜葵西園瑠花加藤梨里香宮武佳央篠崎ニイナ久保田紗友、シュドーズ直矢、オカドミキ、冨田裕美子、小林優介、長友光弘、中村公平
春休みの旗揚げ公演、夏休みの第2回公演に続く、冬休みの公演は、中3の高校受験組である高橋紗良広瀬咲楽松永ミチル布施日花梨望月瑠菜の5人がお休みで、残りの9人による「特別公演」。中3組では、加藤さんと西園さんの2人は受験がないのか出演となった。地方組への配慮や受験生への配慮。こういうところに、大手事務所による中期的なプロジェクトのメリットが活かされている。
己にとってはあまり縁のない赤坂あたり。訪れたのは、10年ほど前の斉藤哲夫氏&野澤享司氏のライブ以来だろうか。会場の元気劇場は、普段はスマイル学園などのアイドルライブもやっているらしい。ライブハウスらしく、ワンドリンク制だった。
今作は、ハーベストの9人が2組に分かれて、大晦日の高校女子寮を舞台にしたショートコメディーを2本立てで披露。
まずは、201号室編の「カミングアウト受験ガールズ」で、大学受験を控えた高校3年生たちの年越し物語。これまでのハーベストとは雰囲気の違うドタバタ劇。ちゃんちゃんこ姿も可愛らしく声の大きさを生かして思いっ切りキレる川畑さんと、3枚目もこなせるイケメン女子・山本さんのボヤキが秀逸だった。正統派美少女が揃う中で、山本さんの個性は貴重だ。西園さんは、前作の気品あふれるお姉さん役から、今回はメガネにハチマキの受験生姿。それでもなお品性の塊のようだが、コメディが似合わなさそうなところで生まれるギャップが面白みを引き出していた。リーダーの青山さんと若菜さんの高校生組は、もうどんな役でも安心して見ていられるレベルになっている。
後半は301号室編の「バッドタイミング柔道ガールズ」で、こちらは高校2年生の柔道部員たちの年越し物語。主演した旗揚げ公演でもコミカルな演技を見せていた加藤さんはここでも本領発揮。舞台に耳目を惹き付ける存在感とセリフ回しの上手さはさすが。元々演技の経験が豊富だった彼女もこの1年で更に成長した。しかし、他のメンバーも急激に力をつけてきている。特に宮武さんは顔つきも声も大人っぽくなったし、大きな演技ができるようになっていて、実力と自信が備わっていた。久保田さんは来年放送の単発テレビドラマでの主演が決まったとか。元々ドラマの主役を選ぶためのオーディション型劇団としてスタートしたハーベスト。そのコンセプトが今も生きているのかよく分からないが、久保田さんの将来性が抜群であることは誰も疑わないところだろう。
コメディとしては、「柔道ガールズ」に軍配が上がる。オカドさんに冨田さんに響の2人と強力なゲスト陣を配した効果はやはり大きい。裏を返せば、まだまだゲストの強烈な個性に負けてしまっている部分もあるということだろう。ハーベスト公演に欠かせない存在となったオカドさんの出オチ感がすごい。
終演後は、トークショーやジャンケン大会や握手会など。サイン入りポスター争奪ジャンケンで勝利する観客・高橋紗良。何か持っている。千秋楽では、受験生5人も客席で観劇し、舞台挨拶で登壇した。布施さんの色気は、全盛期のともーみにも匹敵するレベルだ。
そして、篠崎さんの突然の脱退宣言。メンバーは既に知っていたようで、落ち着いて受け止めていたようにも見えたが、泣き虫の若菜さんが涙を隠せず、コメントを振られた宮武さんは号泣しながら篠崎さんに抱きついた。篠崎さんは下がった目尻やほっぺたのぷにぷに感が独特の可愛らしさを醸し出していて、これからどう成長するのか楽しみな存在だったので残念だが、彼女の舞台での姿はしっかり記憶にとどめておきたい。
(以下あらすじ)
【カミングアウト受験ガールズ】大晦日の高校女子寮。夜も集まって受験勉強に励む3年生の5人。話の流れの中で、空(西園)の誕生日が大晦日であることが分かって気まずい雰囲気に。紛らわすために、吉江(山本)は、カミングアウト大会の開催を提案する。1番手の吉江は、模試で自分だけA判定だったことをカミングアウトし、他の4人はドン引き。続いて由美(青山)は、バスケ部の大地からクリスマスに告白されたことをカミングアウト。恋愛禁止条約で受験勉強に専念していたはずと吉江は憤る。さらに、マキ(川畑)は、大地は自分と付き合っているとカミングアウト。由美とマキは喧嘩になってしまう。そこに現れたピザ屋のジョージ(シュドーズ)を巻き込んで、友情か恋愛かの議論が戦わされる。史子(若菜)は、昔、大地と付き合っていたが恋愛禁止条約のために大地を振ったことが、大地の暴走を招いたとカミングアウトする。さらに、空は、大地は自分の双子の兄だと究極のカミングアウト。大地のことが好きだった吉江はショックで布団に潜り込んでしまう。励まし役を背負わされたジョージは吉江のことがタイプだとカミングアウトするが、あっさり振られる。そして5人は友情に目覚め、初詣へと出かけていくのだった。【バッドタイミング柔道ガール】大晦日の夜、柔道部2年の愛子(加藤)、スズ(宮武)、仁美(篠崎)は、口うるさい中村先輩(オカド)が帰省したのをいいことに羽目を外して中村の悪口で盛り上がる。コンビニへ年越しソバを買いにいくため、愛子がダウンコートを取り出そうとクローゼットを開けると、何とそこには道着姿の中村が。中村は3人を驚かそうと年越しソバを買ってクローゼットに隠れていて、全てを聞いてしまったのだ。中村に問い詰められた愛子はさっきのことは本心ではないと嘘をつく。中村は、それならばともう一度クローゼットに隠れ、スズと仁美の本心とやらを聞き出すよう愛子に命じる。しかしスズは相変わらず中村の悪口を言い、仁美はあろうことか中村に恋していることを告白する。そこへ門限破りで寮長に追われる沙世(久保田)が飛び込んできて、隠れるためにクローゼットの中へ・・・。クローゼットから出てきた沙世は顔面蒼白、そしてついにスズと仁美も中村の姿を見てしまう。落ち込む中村をなぐさめるために年越しソバを作りに行く面々を見送り、愛子がベッドに倒れこむと、そこには愛子の彼氏である岡崎(小林)がいた。彼もサプライズを企てて部屋に潜んでいて出そびれてしまっていたのだ。二人は、中村に柔道の稽古をちゃんとやっているところを見せるために、狂言を仕掛ける。下着泥棒に扮した岡崎を愛子が投げ飛ばし、退散する岡崎。そこへ、本物の下着泥棒(長友)が侵入し、刃物をちらつかせる。柔道技で無事に下着泥棒をお縄にかけると、寮長や中村も彼女たちのことを許し、騒動は一件落着したのだった。