~熱風の果て~

観劇の記録

あの夏のうた(路地裏ナキムシ楽団)@キンケロ・シアター

【作・演出】路地裏ナキムシ楽団

【出演】小西良太郎、小島督弘、千年弘高、小森薫、上村剛史、原田里佳子、橋下幸坪、藍沢彩羽、小沢あきこ、押田健史、中島貴月、堀裕子
【歌・演奏】たむらかかし、ハマモトええじゃろ、暮らしべ四畳半、カト・ベック、アンドレ・マサシ、遠藤若大将
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原田里佳子さんが所属する、路地裏ナキムシ楽団の公演を初観劇。演劇と音楽は古今東西を問わず、融合しながら発展してきた歴史があるが、ストーリー性のある楽曲を演奏していたバンド側から、演劇にアプローチしていくというのは、意外と珍しい試み。「フォークと演劇」といえば、及川恒平や小室等を擁した楽団「六文銭」がよく知られている。どのような演劇の場面で使われた曲なのかは分からなくても、「ゲリラの歌」や「街と飛行船」、「私はスパイ」などの楽曲はよく聴いている。ナキムシ楽団でドラムを担当する遠藤さんは、アルバム「Niyago」のジャケットの遠藤賢司に面影が似ていて、親族ではないのかと思ってしまったが、そういうわけではないらしい。今作の楽曲では、蛍をテーマにしたものがいちばん心に残った。
「鍵」を文字通りのキーアイテムとして、戦争末期から21世紀まで、オムニバス的にエピソードが連ねられ、最後には循環する。楽曲やライブタイムを挟みながらなので、それぞれのエピソードは綺麗にまとまってはいるのだが、やや忙しなくもあった。このスタイルには、一つのエピソードを掘り下げる方が向いているのだろうか。
原田さんは戦中パートにはお下げ髪にモンペ姿で登場。素朴でいじらしく、寂しさも背負いながら精いっぱい前向きに生きる少女・・・、年上の男性中心のナキムシ楽団に身を投じた彼女にはぴったりな役柄で、とても自然に演じていた。楽団のアイドルと紹介されていたが、彼女ならどこに行っても可愛がられるだろう。ナキムシ楽団の公演は年1回ペースとのことだが、秋には次の舞台出演が決まっている。演劇人として着実に歩み続けている彼女の活躍は楽しみだ。
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