~熱風の果て~

観劇の記録

AKB48(チーム4)「手をつなぎながら」公演@AKB48劇場

【出演】岩立沙穂内山奈月梅田綾乃大川莉央、大和田南那、岡田彩花岡田奈々北澤早紀篠崎彩奈高島祐利奈西野未姫橋本耀前田美月村山彩希茂木忍湯本亜美
さっほーが一部出演となってしまった「ふるふる公演」以来となる劇場公演への参加は、茂木ちゃんの17歳の誕生祝公演。
メンバーの太ももを愛するモギハラ変態キャラを確立する一方で、今を時めくなーにゃが「顔を交換したい」と言ってしまうほどの美貌も誇る茂木ちゃん。有志から配布されたリーフレットに「茂木忍はもっとコアに、もっと深いところへ入っていかなければならない」と書いてあるのを見ると、その通りだなあと思う。13期生のGoogle+が始まったとき、己はまだ彼女たちの顔も名前も把握していなかった。そんな中で茂木ちゃんが挨拶がわりにいきなり発信した変顔。久しぶりに規格外のすごい研究生が出てきたな、13期は光宗薫とその他じゃないんだなと、その強烈なキャラクターに驚き、期待するとともに、己にとっては13期生に対して興味を持つきっかけでもあった。
その時の印象からすれば、殻に閉じ込めた才能はまだ出し切れていないと感じる。例えば、自己紹介のキャッチが「あなたのハートをもっぎもぎ」に決まったとき、己はそのアイドルっぽい月並みさを、彼女らしくないと思った。ニックネームも、「茂木ちゃん」よりも、お母さんやさっほーからは時々呼ばれている「ぶーちゃん」の方がインパクトがあって好きだな。誕生祝公演では序盤から涙が堰を切り、あーみんとお母さんからの手紙には鼻水まで溢れさせてしまった茂木ちゃん。彼女が繊細な心を奮い立たせて大きく羽ばたく時はきっと来ると思うが、決意を語った17歳がその時であってもいい。
なっきーを劇場で見るのは、11月3日の初日以来。握手会ではよくさっきーやさっほーの隣で汗をしたたらせながらのパワフルな握手ぶりを眺めては癒されていたが、公演で見た回数は他のチーム4のメンバーに比べると圧倒的に少ない。劇場公演でも、彼女がいるとステージ全体が幸福感に包まれるような、色が変わるような感じになる。自己紹介でなっきーとみっきが並ぶのは強力なことこの上ない。
「Glory Days」のバックダンサーは、今日は研究生ではなく、チームメンバー。ここでも帽子が脱げてしまうゆいりー。脇役に徹するように軽めに踊るバックダンサーの中で、彼女だけは常に全力。ゆいりーのそういう姿勢が好きだ。バレンタイン2日後に相応しい曲である「チョコの行方」でもやっぱり帽子を飛ばしていた。帽子をキャッチする準備も万端の彼女は、いつ脱げるのか分かって踊ってるね。
ぴっかりんは髪が伸びてきたようで、ユニットまでは髪を後ろで結んでいたが、後半からはそれを解いた。前髪ぱっつんで、チョコの家に住んでいる妖精のようなイメージになる。人生の大半を共に過ごしてきた愛猫クーの話をするときの幸せそうな表情も可愛らしい。「僕の太陽」公演時代のような、躍動する動きを取り戻してきているので、小さな彼女が少し大きく見えた。ゆいりーとぴっかりんとなーにゃ。似た髪形のこの3人は、ともすると見分けるのに時間がかかってしまう。
さっきーは「マンゴーNo.2」のズッコケポーズからエンジン全開。2回公演では体力に不安があるという彼女だが、「恋の傾向と対策」あたりでは相当息を切らせながら頑張っていた。お祝いごとが大好きで、今日も茂木ちゃんの誕生祝に泣いてしまったさっきー。特別な日でテンションが上がっていたということもあるかもしれないが、今日くらいの躍動感を常に出していければ、ステージを見渡したときに目を引く存在になれるはず。自己紹介MCの「メンバーのほっこり話」では3回も名前を出されるという、相変わらずの愛されキャラぶりだった。
予防接種の効果もあって、幸いそれほど酷くならずに回復したさっほー。体調の心配や、次の曲にも出てこれるかという心配をせずに公演を見ていられるだけでも幸せなことと実感。インフル以来、写真では多少やつれた感じもあったが、生で見るとそんな心配もなさそうだった。シリアスな曲であえて漏らす笑みには大人の色気を感じさせるさっほー。そこから更に表情のバリエーションを増やしていくのが今後の課題だろうか。
みきちゃんの制限されることを知らない表情と全身の関節を目いっぱい使ってのパフォーマンス。1曲目からビュンビュンと風を感じ、その渦に巻き込まれる。歌うことのない「Innocence」での内面からも外面からも、複数の邪霊によって操られているのではないかと思うほどの、恐ろしさすら感じるような表現力の源泉はどこなのだろう。もちろん、彼女の研究熱心さによる部分が大きいのだろうが、劇場で見ることができることを感謝したくなるレベルだ。「大好き」のような静かな曲でも、みきちゃんのコロコロとビー玉が転がるような、表情やステップでの繊細な表現は見ていて飽きることがない。決して大きくはないが、時に大きく見開かれ、時に俯きがちに流すように動く様子が遠めにも分かる彼女の瞳も「ビー玉アイランド」と呼ぶにふさわしい。
15期仮研究生組のりおりんこと大川さんは、今日がアンダーデビューだったらしい。立ち位置が覚束ずに、さっきーのエスコートを受けたりしていたようだが、無事にフルステージをこなしていた。余裕がない中でもアイドルらしさを失わない笑顔は彼女の持ち味。エキゾチックな顔立ちだが、まだ12歳らしい幼さが勝っていた。
チーム4の黎明期に闇をもたらすかのような不吉な言葉とそれを飾るお為ごかしの御託に耳を塞ぐ中で見る「遠くにいても」前の映像パートは、擦り切れたレコードのようなパチパチとした音のようなノイズが頭を駆け、前回までと同じような気持ちで見ることができなかった。次は、どんな気持ちでこの映像を見ることになるのだろうか。