「スマイール」(smokers)@中野ザ・ポケット
【脚本・演出】広瀬格
【出演】荻山博史、斉藤麻衣子、田中千佳子、熊坂貢児、木戸雅美、岸本鮎佳、吉田一義、渡辺望、森尾繁弘、伊丹孝利、野口裕樹、國枝大介、大浦孝明、山田直人、遊佐邦博、田所ちさ劇団ジャイアント・キリングの「ワンダース★インベーダー」での演技に心ひかれた斉藤麻衣子さん出演の舞台を中野にて観劇。
- 劇団名は煙草の愛好者が多いことにでも由来しているのか。劇中も煙草をゆっくりとくゆらす場面が効果的に使われていた。
- 「スマイール」は微笑みと地縛霊が「住まいに居る」の掛あわせか。
- これまでの2作では落ち着いてどこかシニカルな女性の役を演じていた斉藤さんは、主人公の娘役でコミカルな表情を見ることができた。
- おねだり大作戦で没落した父から金をせびる娘だが、あの両親の下ではまあまあまともに育った方か。
- 表情もさることながら、あわてたような動きが面白い。ニセ霊能者の助手に扮したときの慌てふためきながら折り目正しい動作が美しかった。
- 個性豊かな幽霊たちの暮らしぶりには著しい悲壮感はないが、混ざり切っていない原色のように目まぐるしく表出される馬鹿らしさとペーソスの色彩が絶妙。
- 幽霊たちは個性的で、役者の演技もまた個性的だったが、生前の経歴が幽霊としての個性にあまり反映されていなかった。
- 元お笑い芸人であればネタを言いまくるとか、個性を極端化して前面に押し出すことができればもっとよかったか。その点が弱かったので、地縛霊が8人は少し多かった。
- ラストはいろいろなまとめ方ができるところだが、主人公が命を拾い、幽霊たちがそれを心残りとして成仏することを見送るという選択も未来への希望が感じられてよい。