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~熱風の果て~

観劇の記録

戦国降臨ガールズ(アリスインプロジェクト)@六行会ホール

【脚本・演出】まつだ壱岱

【出演】中村麻里子栗田恵美冨田樹梨亜加藤沙耶香那奈斉藤雅子、栞菜、船岡咲小見川千明南菜々子南千紗登、平山空、北山亜莉沙、岸本望、中村裕香里、つちださゆり、加藤茜、菅田音杏、新名杏梨、桜田麻乃、中村まい、小玉百夏、安藤彩華、那海、春原優子、佐藤ありさ青木ゆり亜、花井円香、高村さくら、山崎じゅり、夢乃菜摘、松下恵里香、岩下夏帆、春野恵、秋山優香、中村舞、荒井裕美、秋場由香
未解明の歴史の謎を解明する「歴史補完計画」により現代に蘇った卑弥子は、かつてヤマトに滅ぼされた「ヤマタイ」を鬼道の力で復活させ、ヤマトの国を支配することを目論む。これに対抗できるのが戦国武将たち。DNA型から作り出された器である「エーライフ」に、特異な能力を持ち特定の武将とシンクロできる少女たちが魂を「降臨(calling)」させることにより、昔の人物たちを復活させることができるのだ。その能力を持った少女たち(コールマスター)を集めて彼女らの能力を高め、ヤマタイとの戦いに備える秘密組織「降臨学園」。そして、学園は長年探し求めた、最強の武将・信長を降臨させることができる力を秘めた少女・百華を発見する。対するは、信長の第六天魔王としての力を利用するため、百華を奪おうと襲い掛かるヤマタイの一党。危機が迫る中、百華が叫ぶと信長が降臨し、その力を得て勝利する。しかし、その後の百華は望んでも信長を降臨させることができない。それを知って再び百華を狙うヤマタイとの戦いで、勝家を降臨させることができる学園の先輩・大柴田は百華を守って命を落とす。ついに戦う決心を固め、覚醒した百華は、信長と心を通わせ、意のままに降臨させることに成功。政宗、秀吉、光秀を降臨させる学園の仲間たちと共に、敵方の蛇子が降臨させた義元、白童子が降臨させた信玄を破る。しかし、白童子たちによって本能寺の記憶を呼び覚まされた光秀は突如として信長に刃を向け、コールマスターである三ツ子とともにいずこへか去る。そして新たに謙信を降臨させることに成功した卑弥子と戦い、三ツ子を取り戻すため、百華たちは今日も修練に励むのだった。
・・・という昨年12月にシアターKASSAIにて上演された前作を受けての続編。劇中では1年前のこととして語られる前作のダイジェストも演じられた。前作を見ていると、どうしても継続性重視で引き続き登場のキャラやキャストへの思い入れを抱いてしまう中で、彼女たちには回想シーンだけでなく新たな見せ場も予想以上に盛り込まれていたのでその点は満足。しかし、その分、今作で登場したメインの3人は背景や個性の掘り下げが不十分になってしまった感はある。
広い舞台になって、やはり最初のうちは声量やアクションで物足りなさもあった。シアターKASSAIでは、よくあれだけ狭い舞台で殺陣を演じることができたものだと改めて感心。今日は、後半になるにつれて、物足りなさは次第に解消されていった。降臨武将である三成、幸村、信長の3人のキャストは、いずれも過去に己が見た別の作品でメインキャストを演じたことがある面々だったにもかかわらず、上演中は、まったく誰が演じているということを意識することがなく、終演後にキャスト表を見て驚いたくらいだった。それだけ武将として役になり切ることができていたということだろう。
後半は激しい戦闘シーンが続き、死屍累々。前作では、仲間で倒れたのは大柴田先輩だけだったが、今作では生き残る人の方が少なく、大きな犠牲を払うことになった。有馬新七伊達輝宗ばりに死んでいくキャラクターたち。さすがにこれだけ続けて描かれると、一つ一つの死の意味が薄まり、終盤は前作の総清算ありきのようにも感じてしまった。さすがにもう続編はできないはず。卑弥子亡き後、降臨学園や歴史補完計画が存続できるとは思えないのに、ラストシーンで曹操を蘇らせててへぺろには脱力してしまった。
今回、武の組を選んで見に行ったのは、蛇子役の岩下さんと義元役の春野さんのコンビが再登場するというのが最も大きな理由。前作で既に死んでいたので、回想シーンだけの登場になるかと思ったが、卑弥子によってゾンビとして蘇らされ、岩下さんは前作以上に振り切れた狂気あふれる演技で、脇役で悪役ながら、空間の全てを食い尽くすような存在感を発揮していた。最後の舞台挨拶ではちゃっかり自分のブロマイドの宣伝までしているし。もしも続編があるのならば、蛇子と義元を主役にしたアナザーストーリーならば見たいと思う。
(以下あらすじ)
三ツ子(船岡)と光秀(中村裕)を裏切らせ、謙信(中村舞)、家康(春原)、半蔵(小玉)、忠勝(那海)を蘇らせ、復讐の機会を窺う卑弥呼(岸本)率いるヤマタイ一党。これに対抗するため、降臨学園は史実で家康に戦いを挑んだ三成(加藤沙)、幸村(小見川)、兼続(南)のエーライフを完成させ、彼らとシンクロできる3人の少女を特待生として迎え入れる。しかし、父母をヤマタイに殺された恨みだけを抱く蜜(中村麻)、戦いの怖さを知らない愛(冨田)、臆病者の幸(栗田)と、まだ隙だらけの3人は降臨フォンを操ることができない。百華(斉藤)や教師たちから1年前の戦いの話を聞いた彼女たちは、襲い来る謙信との戦いで武将を降臨させ、仲間のために戦うことに目覚めた。ついに卑弥子が学園に乗り込んできて乱戦となる中、愛は、忠勝、白童子(中村ま)らを道連れに自爆し、蜜と幸を家康との戦いに向かわせる。魔紗子(栞菜)と秀美(花井)は、卑弥子が蘇らせた義元(春野)、信玄(安藤)、蛇子(岩下)と刺し違えた。初めて蘭丸(菅田)を降臨させることに成功した蘭子(加藤茜)は、妖術に魅せられ、信長(那奈)を拒絶してしまった百華を身を挺して救い、自らは命を落とす。そして、百華は、大柴田(北山)の力を借りて三ツ子が操る光秀を倒す。我に返った三ツ子は百華の腕の中で息絶えた。そして卑弥子との決戦のとき。百華は、かつて大柴田が自分を守ったのと同じように蜜をかばって死んだ。妖刀村正に仲間たちの思いを託し、蜜と幸はついに家康、卑弥子を倒す。しかし、蜜には達成感はなかった。蜜は仲間たちを失った悲しみを胸に、もっと強くなろうと誓うのだった。