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~熱風の果て~

観劇の記録

CABARET ON THE SEA(アリー・エンターテイメント)@シアターグリーンBIG TREE THEATER

演劇 演劇-2012年
【脚本】柿ノ木タケヲ、【演出】島英津夫

【出演】戸島花彩夢、松村真知子、新井裕介酒井俊介、若宮亮、空ゆきこ、島岡亮丞、伊藤武雄鈴木健太郎伊藤真奈美、長田涼子、祖父江桂子、横関咲栄、島英津夫
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「太平洋の貴婦人に乗って、夢と情熱が時代を駆け巡る。」というキャッチから、華やかなショーを楽しむべき舞台で、ストーリーはそれほど期待しない方がいいかないう思いも抱きながらの観劇だったが、終盤は感動の涙。太平洋戦争が時代背景として設定されたからには、想定の範囲内のストーリー展開とも言えるのだが、戦争は国家の命運を定めるのではなく、名もなき人々のささやかな幸せの芽を根こそぎ奪うことがその本質・・・これも分かっていたはずのことなのに、思わず熱くなってしまった。コミカルな要素で笑いも誘いながら、ぎこちない純愛が生まれ、壊され、そして繋がる。シナリオのみならず、実力を備えた出演者たちの演技には説得力があった。
舞台は戦時中と現代がシンクロ。終戦の年は、もはや67年前。いくさは遠くなりにけり。戦時中に青春を生きた人たちを舞台に登場させようとすると、もう80代後半から90代という設定になる。現在、中野で上演中の劇団ハーベストの舞台では、戦争を知らない世代が女子大生から見てのおばあちゃん世代として登場する。戦時と現代を「同世代」として描くことができるのも、あと数年だと思うとあせりに似たような感覚にも陥る。
ガオー戸島さんは現代パートに登場。戦時パートの傍観者のような位置付けでもあるので、喜怒哀楽を全面に出しての演技は余り見られなかったが、主役としての存在感は十分にあった。安心して聞いていられる役者らしい一瞬ためるような台詞回しは、今回のような脇役のような主役という立ち位置に対しては自然だった。
戦時パートの主役は彩夢さん。ぐるぐる眼鏡とボサボサのお下げ髪、木綿の着物に草履に東北訛り・・・という田舎者が意外と似合う。そこから太平洋のスターへと変身するのだが、残念ながら歌唱力が伴っていないのは明らか。チアチアのセンターでアイドルとして過ごすことより、女優として生きる道を選んだ彩夢さん。今回の主演舞台は、女優としての彼女の価値は高めたが、歌うことが前提のDiva千代子としては、ミスキャストと言われてもやむを得ない。キャスティングを戸島さんと逆にしてもよかったと思う。