~熱風の果て~

観劇の記録

鬼切姫第一章「志を継ぐ者」(ダブルフォックス)@大和田伝承ホール

【原案】畑澤和也、【脚本・演出】まつだ壱岱

【出演】高木万平北山詩織戸島花、南羽翔平、前内孝文、森大、内田理央加藤沙耶香、笠原竜司、清野菜名、毛利まこ、西山丈也、平田弥里、杉山俊介、田所治彦、須加留、HILOMU、昼田富彦、斗澤康秋、鵜飼主水、森川和真、クシダ杏沙、中村まい、南千紗登、松尾朋法、井上喜洋、山本研二、池田美郷、舘知里、田沼ジョージ、板橋涼太、
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畑澤監督の原案を壱岱さんが演出ということで、ASSHつながりの役者が多く出演したこの舞台。そんな役者たちが主として鬼サイドを固めていた。
元チームAの戸島さんもASSHの「降臨Fight!」に出演した経歴を持つ。彼女のことを見たのは、直近では5周年記念公演、その前は2008年3月なので、面影には4年の月日が確かに感じられたが、美声は当時のままだった。元々「女優」ではなく「役者」を目標としていた彼女がこうして舞台に立つ機会を得られているというのは意味のあることだ。
今年に入ってからでも、「空色ドロップ」「月下のオーケストラ」「グリグリ学園」と、3つの主演作品でその演技を見てきた内田理央さんは、もはや戸島さんよりも馴染みの顔。7月のFlying Tripの次回作はフォンさん主演で、ついに内田さんは出演しないようだ。フォンさんは、今月の畑澤監督のヴェッカー舞台でも主演するようだし、こちらもハイペースで主演作品を積み重ねている。おっとりした内田さんに剣士が務まるのかとも思ったが、彼女の必殺技は癒し剣で、相手の善の心を呼び覚ますというもの。キャラクター的にはおっとりというよりもぶりっ子の要素も強かったが、ツインテール姿でぶりっ子キャラを演じる姿は見慣れていないので余計に可愛らしく見えた。
畑澤・まつだコンビは、善と悪を単純な二項対立にとどめるようなことはしない。ましてや、イケメンパラダイスでお茶を濁すようなこともしない。鬼と人間との関係と、一人ひとりの人間や鬼の中にある善と悪を描くことにより相対化する。同時に、戦って敵を斬ることの哀しみや空しさが、激しく繰り広げられる殺陣の中に表現されていく。単純に殺陣でスカっとするような舞台ではない。
ラストも、戦い済んでハッピーエンドでは終わらず、憎しみが憎しみを生み出し、主役が永遠の眠りにつき、新たな章の幕開けを告げる。続編を意識したようなラストになっていたが、憎しみの連鎖が断ち切られるまで、いくつの章が重ねられるのだろうか。
侑姫役の清野菜名さん、車椅子の病弱少女と思いきや、覚醒するや立ち上がり、アクロバティックなアクションで戸島さんを殺しにかかっていったので、本業は殺陣師かアクション女優なんだろうと思ったら、何と17歳のモデルさん。続編があるとすれば一方の主役を占めることになると思われる彼女のアクションはまた見てみたい。
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