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~熱風の果て~

観劇の記録

月と箱舟(“STRAYDOG”Seedling)@池袋GEKIBA

【作】矢沢幸治、【演出】那波隆史

【出演】堀之内良太、川村美喜、花田裕二郎、増田桂次、大村仁望、竹重里美、堀高エミリ、高橋玄太、松浦康太、佐々木直樹 、樽味萌花、大尾和弘、渡部未来 、北村絵梨奈
震災直後の「Girls Prison Opera」以来2回目となるストレイドッグ系舞台の観劇。あらすじに興味を惹かれたということもあり、もえたんこと樽味萌花さんが出演しているということもある。
もえたんといえば、2005年から2006年にかけてのちゅろすライブにおいて、寸劇「私、萌たん」や、ソロ歌唱の「スプリングサンバ」、楢さんとのアニソン対決などで活躍した姿がまだ記憶に新しい。己はもえたんの「スプリングサンバ」を聴いて曲に興味を持って、大場久美子の「スプリングサンバ」が収録されたオムニバスCDを買って、大場久美子の歌唱力に衝撃を受けたくらい。今もオスカーに所属する彼女は、ちゅろす後も舞台に出演したり、演劇アイドルユニット「Shimokita5」を組んでいたりしたようだが、アンテナに引っかかってこなかったため、2006年5月3日にKチーム公演の裏で初台Doorsで開催された「ちゅろすでLive!」以来、6年ぶりに彼女を見た。この時期に活躍していたちゅろすメンバーとしては、プラチカ所属のアイドルユニット「MYM Melody」で頑張っている守木裕香ちゃん、フラップガールズスクール練習生という肩書きの近藤真由ちゃんと、モデル活動をしている楢さんは現在の活動が把握できた。李湖ちゃんも事務所には所属しているようだが。返す返すもにゃは惜しい。
余談はほどほどにして、劇はストーリーだけを取り出せば陰惨さ極まる悲劇。人間の業と罪と欲の深さが余すところなく舞台上に曝け出される。その中に欠片が煌き濁流の中に飲み込まれていく愛が美しい。想像以上の重苦しさにかたずを呑んだ。陰惨さを覆い隠すように、下ネタであったり着ぐるみであったり、中和の工夫が行われている。上空から薬剤を大量散布するような乱暴さはあったが、小劇場の狭い舞台の中で、目一杯に身体を張って演じる若い役者たちのパワーには快さも感じた。体力も気力も使うし、擦り傷や痣も絶えることがないと思われる激しさの中で、あと1週間、若いからこそできるような公演が続くというのだから頭が下がる。ストレイドッグは、同じような顔ぶれでハイペースで公演を打ち続けているので、質が保てているのかという疑念もあったが、その点での心配は無用だったし、客席は満員。「Seedling」とは言ってもプロの舞台だった。
最前列の防水シートはどういう演出で使うのかと思ったら、手頸の動脈を切って血潮が吹き出るという仕掛け。実際に血しぶきが飛ぶ舞台というのは初めて見た。
もえたんは、鑑別所上がりの未改悛の不良少女の役で、役づくりのために髪を金髪に染め上げての出演。さらにギャルメイクなので、事前に分かっていなければ彼女とは気付かなかっただろう。人間的にはいいところが全くない役だったが、汚い言葉をチラつかせ、色仕掛けも使いながら、不良を果敢に演じきっていた。次は全うな人間役も見てみたい。