~熱風の果て~

観劇の記録

ドロシーとあなたの渋谷で春物語@マウントレーニアホール

さくら学院ライブで入場して、ホールの雰囲気の良さと見易さは分かっていたことと、今のドロシーとの距離感に相応しい2階席が開放されたことで、1月のO-EAST以来、久しぶりにドロシーライブに参戦。昨日はユアスタで見事にベガルタ勝利の女神となったドロシー。己の本音としては、今年のベガルタがJ1を制するようなことは阻止してほしいものだが・・・
昨夏のTIFで衝撃を受けて東北まで脚を伸ばすことも3度。しかし、秋のアイドル横丁とそこで発表された新曲「HAPPY DAYS」を峠として急速に下り坂を辿ったドロシーへの思い入れ。今日のライブでも、峠以前の曲と以後の曲とではステージ上と己の心のシンクロ具合が全く違った。もし、全ての曲に今日はじめて出会っていたとしたら、それでも同じような気持ちになったのかどうかは分からない。
「部屋とパジャマと私」は、今日は「部屋とパジャマと私たち」バージョンということで、まりちゃんソロではなく、1番は他の4人のメンバーが歌った。それぞれ個性と魅力を持った4人ではあるが、歌唱力の差は埋めようがない。ドロシーの強みとしては、やはりまりちゃんの高く澄んだ、精一杯のようで安定した、他にどこを探しても見つからないであろうオンリーワンの歌声。聴いていても満足、見ていても応援したくなる。「部屋とパジャマと私」を聴くのがライブでの楽しみでもあるので、興が削がれた感じにもなったが、その後、存分にまりちゃんの歌声が聴ける「見ていてエンジェル」、「冬の桜」とつながる構成がよかった。この、ピンク色に染まるような、まったりと幸福になれるような、坂本サトルさんによる楽曲群がドロシーに対して感じる魅力の大きな部分だ。
後半は、テクノポップ的な「トライアングルスクエア」、ハードロックの「臨戦態勢が止まらない」、デビュー曲の軽快なガールポップの「ジャンプ」。いわゆるアイドルポップスとは一線を画すこれらの楽曲群を高い技術と気持ちで演じるドロシーの輝きには気持ちを昂ぶらせずにはいられない。
これらは、いずれも「峠」以前のもの。アイドルとしての人気は関東にもすっかり根付いたが、今の路線には一種の惜しさも感じずにはいられない。また、このような惜しさを感じさせるのも、ドロシーのパフォーマンスがそれだけ魅力的であり、それが失われていないことの証左とも言えるだろう。