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~熱風の果て~

観劇の記録

ワールズエンドガールズスタート(アリスインプロジェクト)@シアターKASSAI

演劇 演劇-2012年
【脚本・演出】浅間伸一郎

【出演】松上祐子、小花、麻生かな相田瑠菜、江里奈、稲森美優望月るな、田口夏帆、天野麻菜、澤田樹里亜、服部喜子、財前光希、樫村みなみ、篠原ゆり、荒屋知子、会原麻彩、松下恵里香、稲村亜美、今さえ子
アリスインプロジェクトおなじみのSFもの。今回の作品は、SFであっても法則や超現実に支配されるのではなく、登場人物たちのささやかで一途な想いがマクロスケールを動かしていた。このあたりのスケールのミックス感は好みだし、「まなつの銀河」よりもクライマックスに至るまでの説得力があった。松上さんと小花さんの役は、作品を真に完成させるには男性と女性が演じなければならないものだが、女性キャスト限定のアリスインでそのような設定をもってきたこと、安易に百合的要素につなげなかったことはむしろ印象が良い。
シアターKASSAIでのアリス舞台ではこれもお馴染みの無機質な白壁教室セットだったが、一つずつの場面が短くテンポよく進んでいったので、背景の平板さや会話の間延びといったストレスはほとんど感じずに済んだ。上演時間に比べると多すぎる登場人物たちに個性を持たせる上でも、この手法は奏功していた。
主演は、初舞台となる松上さん。元AKBN0ということや、東京まで通う交通費を工面できないというエピソードは知っていたので、ここで主演女優として登場してくるというのは意外でもあったが、主役をつかむだけの可憐さは感じられたし、自由奔放な前半と、思い悩み行動する後半をしっかりと演じ分けられていた。彼女に限らず、初舞台の子を含めて演技力は高かった。アリスインプロジェクトに求められる水準からすれば、演技も作品も十分なものだった。
「まなつの銀河」でマルゼ三等兵を演じていた麻生かなさんは、アリスインアリスの一員になるとともに、シングルキャストに出世。ケンケンパで歩く、無邪気で子供っぽいようでブラックな部分も持っていそうな役。容姿と声のアンバランスさがあるので、女の子役よりは前作の少年役の方がはまり役だったかな。このギャップを生かして、もっとブラックな面を強調した役なんかも見てみたい。
麻生さんとマルゼ三等兵役を分け合っていた篠原ゆり丸。下っ端ヤンキー、少年兵と来て、今回はさっぱりとした上級生役。ようやく普通の女子高生の役ながら、これも普段の彼女とはかなり毛色の違うタイプとか。張らなくてもよく通る声は舞台向きだし、台詞回しも役に合わせて堂々としていた。感情を言葉に自然に乗せられるようになれば、シングルキャストまではすぐにでも手が届きそう。前作に続いて終演後の握手会にも参加してきた。負の感情を出さずに、いつでも明るい姿を見せてくれるのが彼女の魅力で、今回も足取り軽く会場を出ることができた。
目に付いたキャストは、コミカルな表情でドジっ子を演じていた相田さん、発声が素晴らしいロックライブでのモッシュッシュが生きがいという天野さん、愛嬌ある下ぶくれ顔のトロ丸松下さんといったところ。
うさ耳カーデガンが可愛らしい最年少13歳の澤田さんに、初稽古のときにはキャストの一部が未定で不安だったと言わせてしまうような事態はよくない。今回は久しぶりにチケット発売時点でもキャストの一部が未定という状況が生まれてしまっていたし。初日では混乱していた会場運営。KASSAIはアリスインのホームのようなものなので、願わくば初日から整然とやってほしかったが、千秋楽には改善されていた。会場運営に問題があっても、アイドルファンはやかったりすることもなく。舞台を見に来るようなアイドルファンは、おおむねマナーが良いので安心できる。