読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

~熱風の果て~

観劇の記録

ロボット(劇団三年物語)@シアターサンモール

【作・演出】藤本浩多郎

【出演】馬渡直子、南雲亜由美、小名木美里、北村悠、岩永大生、三宅ひとみ、東佑樹、栗城宇宙、中津留明子、佐藤有、菅原千聖、羽鳥健一、高橋里英、染川重樹、桜舞、廣瀬直也、二之宮亜弥、速水剛、すずき・寅・けんた、小林ゆか、吉田一義、関沢明日香、斉藤優紀、関口あきら、斎藤むつみ、川守田政人、モリタモリオ
f:id:JoanUBARA:20170401202931j:plain
劇団三年物語シーズン2の第10作にして3年間の活動の最後を飾る解散公演。この劇団の作品は前作の「御伽草子」からしか見ていないので、個人的には解散は早すぎるという思いはあるが、期間限定とのコンセプトを潔しと思えば何ぞ惜しまん。
過去の演目で最も支持を受けたという理由もあって最終公演の演目に選ばれた「ロボット」は、休憩を挟んで上演時間が4時間にも及ぶという超大作。登場人物が全て出揃うのは午後10時にもなろうという遅さ。ロボットアニメへのオマージュとパロディが含まれるとのことではあるが、ロボットものやヒーローものとは無縁に育った己にとっては消化不能な部分。もちろん消化せずとも十分に楽しめるように作られているが、全てを堪能できなかったであろうことへのもどかしさは残る。宇宙の脅威となった人類を滅亡させるべく攻撃する宇宙の免疫システム・・・この舞台の設定は、数年前にネットを介して見たことがある「ザンボット」にも近い。仲間を救うために自爆を選ぶ・・・というのも。
長大なストーリーでも間延びはない。次々と増えていく登場人物や戦闘ロボットたちも個性がはっきりとしていたので、見ていて、彩り豊かに絡み合う糸を真っ直ぐに手繰り寄せるような心地よさがあった。役自体の個性、それをさらに鮮やかに浮き出させる役者の個性。前作で舞台に立っていた役者も裏方となってひとつの作品をつくり上げる。三年物語はプロの演劇集団の真髄を見せてくれる。
敵である宇宙生物が実際に姿を舞台上に現すことがないので、戦闘は主に得物を振り回して空を切ることで演じられるので迫力は前作に劣った部分はあるが、段差のある広い舞台を立体的に使うことで離れた空間を同時に現出したり、また、舞台内外と段の上下を演者がスピーディーに移動することで十分に緊張感が表現されていた。
看板女優の馬渡さんのことは、三年物語以外にも昨年からいろいろなところで目にしているが、その存在感はどこへ行っても圧倒的。見た目ちょっと怖いし貫禄ある演技もできるけど、基本お茶目で可愛らしいというところが非常に奥深い魅力を構成している。中枢ロボットの無限の大宇宙にも匹敵する愛を見せてくれた。
なお想像する部分を残すのが、早乙女博士がロボットたちに自我を与えた意図。馬渡さん演じるミライに自我を与えるために、彼女と接続して睡眠をとる戦闘ロボットたちにも自我を与えたのかとも思ったが、実際にミライが人類を守ろうと行動を起こしたときの博士の様子からは、己の想像は外れたようにも思える。また、ラストシーンで宇宙の彼方で寂しさに襲われたミライはいつか光子に会おうと地球に戻ってくることがあるだろうか。さらに、免疫システムを封じられた宇宙の運命・・・。単純にハッピーエンドとすることには躊躇を覚えるが、そのくらいの余地を残しておく方が親切な脚本と言えるだろう。