~熱風の果て~

観劇の記録

かいごのご(ラビット番長)@シアターグリーンBASE THEATER

【作・演出】井保三兎

【出演】石川健二、井保三兎、田中大喜、庄山明奈、舩原孝路、大川内延公、町田奈緒、武藤真子、藤桃子、よしだあゆみ、西村麻弥、鶴巻健太郎、伊藤彩、図師千勝
「ギンノキヲク」以来、ラビット番長の介護もの演劇を見に行ってきた。タイ人のチャチャイって「ギンノキヲク」にも居たよなぁ。
前半は、主人公が狂気まがいの中、介護に世間が抱く幻想や希望を打ち砕きながら、触れることがタブーとされる純度の高い本質を遠慮なく突いていく。劇という材料を借りて、「正論」を喚き散らすだけの劇だったら見る価値もなかったかなという思いもよぎった。人は殺す、女は犯すではもう収束させようがないように思えた。
後半は、主人公と因縁ある刑事との対話の中で、過去や真実が照らされていく。純粋な愛とは何か、愛が行きつく先は何処かという重い問いが、介護というテーマを通して語られ、主人公が13階段を上っていくラストには、感情移入したくても許されない、一種の神々しさが感じられた。
1時間という短い上演時間ではあったが、内容は非常に濃密。「ギンノキヲク」よりも格段に印象に残る作品となった。