~熱風の果て~

観劇の記録

パラダイスロスト(アリスインプロジェクト)@シアターKASSAI

【脚本】麻草郁、【演出】柏村栄行

【出演】綾乃彩、松橋ほなみ、斎藤亜美、相田瑠菜、江里奈、望月るな、長島実咲、北山亜莉沙、天野麻菜、服部喜子、澤田樹里亜、ひとみ、田口夏帆木内江莉、二階堂南、相浦心結、麻生みりあ、稲村亜美、畑中桃子
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手詰まり感は否めないアリスイン麻草脚本作品。2時間弱の舞台の中で、全員に個性を出すのはやはり厳しい。その上、複数の世界を行き来するものだから、余計に登場人物の個性が分かりにくい。シホが無数の世界を創出した結果生じた綻びを正すために、自らの身体を犠牲に・・・という設定やラストシーンはいくらなんでも強引すぎた。ヴェッカーでいう時空同位体になぞらえて見ていたが、タイミング的にも秋のノエルサンドレからの着想もあるだろう。
メインキャストの一人を演じた松橋ほなみたんは、映画「ヴェッカーDNS」(未公開)で、ともちゃんと並んで主演を務めた人。映画の公開の遅れは彼女にとっても大きな誤算となったが、これが彼女の初舞台。さくら学院のみよっちゃんにも似たスケールの大きさを見せていた。
登場人物もシナリオもごちゃごちゃする中で、ストーリーの鍵を握り、全ての核心である小野塚シホ役を演じた斎藤亜美たんの存在感、演技力は抜群。演技の経験を豊富に持っているだろうということがすぐに感じ取れた。小生意気で斜に構えたシホ役を、口をひん曲げながら演じていた。年齢を言って驚かれるのが彼女のパターンらしい。この舞台では三つ編みお下げだったので余計だったのかもしれないが、舞台に登場したときに、フライヤーの写真よりずっと幼く見えたのでびっくりした。強引なラストシーンを感動のシーンとして成立させたのは彼女の力によるところが大きかった。終演後は彼女の写真を購入してきた。
主演の綾乃彩たんは、デビューしてまだ1年とか。経験の浅さを感じさせない落ち着いた演技で、主役を務めるのは納得。ほどよい色気と包容力の持ち主でもあるので、女子高生役よりは先生役の方がはまりそう。最後の挨拶でも、まるで舞台監督のようなコメントで感服した。