~熱風の果て~

観劇の記録

Dorothy Little Happy 東京ライヴ@新宿BLAZE

横浜から湘南新宿ラインに乗って、渋谷で下りればマウントレーニアホール、そのまま乗り続け次の駅で下りれば新宿BLAZEへの道となる。どちらも悪番ということもあり、ギリギリまで微妙なバランスを保っていた両天秤だったが、最後は新宿歌舞伎町に傾き、ハッピーとハッピーを掛け合わせることにした。
800人収容の大型ライブハウスで、客の入りは300〜400人程度。このくらいが、見易さと密度が作り出す熱気が両立して丁度よい。
持ち歌のほぼ全てを歌い切った後のアンコールで、メンバーにメモが手渡され、メンバーも知らなかった「お知らせ」が発表された。来年1月にセカンドシングルの発売が決定との報に涙を流しながら喜ぶ5人。彼女たちの涙は、シングルを出すというのは、本来、これほど大変なこと、これほど喜ぶべきことなんだということを、オリコン1位の報告を醒めた気持ちで聞くことに慣れてしまった己に思い出させてくれた。さらに、もう一枚のメモが手渡され、来年1月、渋谷で更に大きな箱でのライブが決定ということで、またもや涙、涙となった。矢継ぎ早のサプライズに半信半疑といった体で、ウソだったらどうするとKY発言をしてしまうるーちゃんの反応も素直でよい。
この成果を、メンバーはファンに感謝し、ファンは自分たちが力になっていると思うことができる。そして、テレビメディアを介することなく作り出したうねりによって、はじめて見る新しい高みに向かって共に階段を駆け上がっていくような高揚感。それは不確かで気まぐれで移ろいやすく、そこには意識が作り出す虚構も混じっていないとは言えないかもしれないが、今日、あの場所で得た充実感と幸福感は確かなものだった。
今回は、仙台から妹分ユニットのビーフラット選抜メンバーと公式バックダンサーを引き連れてきたドロシー。重低音ユニット・ビーフラットは、楽曲もパフォーマンスもアイドルらしからぬプロフェッショナルなもので、黒を基調とした衣装もアイドルらしくない。今の時点で関東で売り出すことは戦略的に上策ではないにせよ、何かきっかけがあれば火がつく可能性は十分に秘めていそうだ。