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~熱風の果て~

観劇の記録

幸福レコード(にほんのうた実行委員会)@相鉄本多劇場

【作】守山カオリ、【演出】扇田賢

【出演】伊嵜充則、高橋良輔仲川遥香、今井ちひろ、河村唯松原夏海、丸山正吾、熊野義啓、民本しょうこ、渡辺ありさ、藤原真紀子、前田峻輔、相楽清仁、釜野真希
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8月の「ポチっとな」から僅か2か月で、再びにほんのうた実行委員会が相鉄本多劇場で公演を企画。なっつみぃ、うさぴょんなど、一部キャストは再集結となった。主演級には経験豊富な役者を配しているので安心して見ていられる。「ポチっとな」もこの舞台も、トチったり噛んだりといった場面が、他の劇に比べるとかなり少ないのは、それだけ質の高い稽古ができているということだろう。
ドタバタ喜劇の色が濃かった「ポチっとな」とは異なり、人類滅亡というこれ以上なく重い背景が横たわる。そこに、売れない作家が唯一世に出した作品と、彼の嫁との人情と運命が絡み、さらに、はるごん演じるポンコツの心臓を持つ少女と彼女が集める「ハッピーレコード」が鍵となる役割を果たす。
無邪気さで舞台に明るさと哀しみをもたらす少女は、はるごんにとってはこれ以上ない適役。昔から舞台に対して貪欲な熱意を見せていたはるごんは、舞台で重要な役を演じきれるまでになっていた。罪深い男を救う姿は、ロシアの小説の娼婦のようでもあった。はるごん担当看護師役の釜野さんは、今回も完全に出オチを取るインパクト。はるごんとの絡みはアドリブも入っていたのかな。
高橋良輔くん演じた男の強姦魔を作り出した罪深さというのは、贖えるものでも許されるものでもないが、劇は希望を救いを残して、一応のハッピーエンドとなった。
うさぴょんこと渡辺ありさたんは、派手な髪色で役作りをした上で、キャバ嬢役に挑戦。しかし、セリフ量的には「ポチっとな」の副会長の10分の1くらいで出番も少ない。強姦魔に乱暴に髪を摑まれて出番が終わりでは少し悲しい。大きく抑揚をつけた舞台向きのセリフ回しをもっと聞きたかった。はるごん演じる「せつな」と反対の「永遠子」という役名であれば、時を永遠と思うがゆえに刹那の享楽に耽るというような役でもよかったと思う。
なっつみぃは、白血病で入院中の、はるごんのお姉さん的存在の役。ストーリーの中心に直接絡む役ではなかったが、安定感はさすが。「ポチっとな」からの流れをこの先も上手くつなげていってほしい。