~熱風の果て~

観劇の記録

「RESET」公演

【出演】秋元才加板野友美内田眞由美田名部生来中塚智実仁藤萌乃野中美郷藤江れいな松井咲子米沢瑠美市川美織竹内美宥永尾まりや中村麻里子山内鈴蘭伊豆田莉奈
今日から省エネモードが解除となった劇場公演。己がこの前にRESET公演に入ったのは、まだ名目上は「チームK公演」が存在し、悲しみの微塵もない2月のことだった。それから8か月弱、久しぶりに見たRESET公演は完熟した甘味を湛えていた。本来であれば、ここまで熟せば次のステージへとなるのが自然だが、今のAKBにはもはやそのような摂理など及びようがない。今のメンバー構成でA7、K7が行われている絵を想像することは困難だ。
そんな中で、新しい挑戦を与えられたのが「チーム4」。才加から指名されてスピーチした中村さんは、チームKをしっかりと立てつつ、チーム4公演への決意を熱く語っていた。まるでチームKキャプテンである才加とのエール交換。チーム4は中村さんがキャプテンでいいんじゃないかと、キャプテン制反対論者でありながら思ってしまった。
以前は美郷たんポジションで出演していた中村さんは、ゆうにゃん、しほりんと受け継がれてきた佐江ポジにシフトしていた。要の一極を占めるポジションを、ステージに立つ喜びを全身からあふれ出させながら、重圧にのまれずに堂々と演じていた姿は、佐江ポジにふさわしいものだった。H1「僕の太陽」公演も、もう4年前の話。今日の出演メンバーでH1を経験したのは、才加、ともちん、れいにゃんの3人だけになっているということに、出演者の顔を見回して驚かされた。
才加は前髪を下ろしたポニーテール姿で、ややフェミニンな印象になっていた。強く気高く美しい姿は、少なくとも劇場公演ではほぼ完成形に近づいているように見えた。MCでは、「BLUE ROSE」の腹筋秘話を披露。腹筋を頑張りすぎてグラビアで腹筋が修正された・・・と危ないネタをさらりと笑い話にしてしまうあたりはさすが。才加は次回もマラソンに挑戦する気満々。もし、AKBのメンバーがマラソンに挑戦するのであれば、余計な企画は絡めてほしくない。
れいにゃんは「心の端のソファー」に、みゆみゆ、鈴蘭たんと一緒に登場。れいにゃんのフレッシュさはいっこうに衰える気配がない。慢心という言葉がAKBでいちばん似合わないのがれいにゃんだろう。
鈴蘭たんは、K6での優子たむを思わせるヘアスタイルで登場。「RESET」では一瞬、優子たむが出演しているのかと思うくらいだった。身体の使い方も似てきた気がするし、瞳はビー玉の輝きを帯び始めたようにも見えた。彼女がK6優子ポジションを演じる姿も見てみたいと思った。優子たむがAKBに加入したのが17歳のときで、鈴蘭たんはまだ16歳。さらに自信と図々しさが付いていけば、鈴蘭たんはもっと上を目指せる。
優子たむ代役のみゆみゆは、やはりRESET公演との相性は抜群。元々表現力では9期生の中では抜けた存在だったが、この半年の間に艶っぽさも出てきて、中盤戦では圧倒的な存在感を見せるようになっていた。自分でも高校生になって変わってきたことを実感しているように、MCにも積極性が出てきた。
同じく9期のまりやぎさんは、この半年で完全に化けたね。半年前は固い表情で飄々としたイメージだったが、すっかり柔らかい笑顔を見せながら軽やかなステップを踏むようになっていた。
前座ガールズは、12期生の4人でいずれも初めて見る面々だったが、やはり危なっかしいというか、初々しい。「檸檬の年頃」は、己にとっては9期生の成長を感じる場でもあったが、12期生の姿に、改めて9期生たちの前期RESET公演での成長を反射的に感じた。平田さんは、はるきゃんにどことなく似ている。舌足らずな鼻づまりボイスは一度聴くと忘れられない。
今日のメンバー構成であれば、2月なら萌乃たんがユニット3曲に出演するパターンだが、今日はすべてアンダーメンバーがユニットも担っていた。「制服レジスタンス」のゆいたんポジションで出てきたいずりなは、ともちんと萌乃たんの貫禄に挟まれると、この曲では優等生すぎるかな。いずりなは、公演全編では大健闘していたので、いつ昇格チケットを手にしてもおかしくはないとは思った。MCでは、ともちんから何の脈絡もなく「えれぴょんに似てる〜」と言われて、才加から頭をなでなでされていた。才加も、初期えれぴょんに似ていることに同意していた。でも、えれぴょんの名前を聞くと、なぜか胸がきしんでしまう。初期えれぴょんのキラキラパワーの奇跡は今思い返しても本物だった。
逆転王子はみおりんがセンター。みおりん、微妙にイメージが変わったような・・・。ほっぺに少し肉がついておちょぼ口っぽくなったのかな。小さな身体と折れそうな細い脚に似合わない身のこなしは彼女ならでは。ただ、少ないエネルギーで手足を操れるためなのか、周りより動きが一瞬早くなってしまうので、少し広い視野でステージを見たときには違和感を覚えてしまう場面もあった。自己紹介でのウソつきキャラとか、みおりんのMCを持っていく力はやはりすごい。
チームKのメンバーも安定していた。よねちゃんの躍動感なんかは、半年前は見られなかった気がする。うっちーも2度目のじゃんけん大会を経ても公演へのモチベーションが落ちるという様子は全くなかった。デコ出しともちゃんは本当に自信たっぷりに演じるようになったな。映画に声優にと活躍の場を広げつつあるのも自信の源になっているのだろう。
萌乃たんの充実ぶりも相変わらずで安心した。ただ、今日のメンバー構成を考えると、もっと前に出て引っ張るようなところがあってもいいのかなとも思う。個人的には、彼女はチームKの中心にいるべき人だと思っているし。萌乃たんもいつの間にか19歳・・・永遠の17歳というイメージなので、何だかびっくりしてしまった。昨日はなかやんがもうすぐ20歳ということに驚いたばかり。最近の己のAKB時間は、実際よりもだいぶゆっくりと動いているようだ。
フライングゲット」は発売から1か月を過ぎてもまだ劇場で演じられていた。そして既に次のシングルのPVが完成していて、じゃんけん大会も終わっていて・・・と、どれも別世界の出来事のように感じられる。握手会から既に離れた身には、最近の握手会の殺伐とした雰囲気が公演MCでメンバーの口から語られるのは軽くショックだ。ジャンケンに応じるだけでメンバーがスタッフから怒られる時代なのか。それが仕方ないというのであれば、もはや末期的といわざるを得ない。
出演メンバー全員が高いレベルを保ち、全体としてもまとまって収穫の時を迎えた今日のRESET公演だったが、どこか物足りなさも残った。今日の休演者の名前と、彼女たちがRESET公演を演じている姿を思い出せばそれも納得。優子たむ、きくぢ、梅ちゃん・・・彼女たちの存在はまだまだ大きい。今後、彼女たちを劇場で見る機会は訪れるだろうか。