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~熱風の果て~

観劇の記録

空隙(B-Baby)@てあとるらぽう

演劇 演劇-2011年
【作】坂享宣、【演出】富田千尋

【出演】丸若薫、荘司里穂、榛葉夏江、馬渡直子、澤田圭佑、鎌田有恒、田村康太郎、山下龍大、長島実咲、日野ありす、深田ジャズミン、黒藤結軌、鬼束道歩
最近観劇した2つの舞台、BLAM!!!の「VAMPIRE HUNTER」と劇団女神座の「大泥棒石川幸子」の2つの流れが重なったこの舞台。B-Babyの主宰で演出を手がけるのは「VAMPIRE HUNTER」で冷徹に職務をこなす死神役を演じた富田千尋さん。そして、「幸子」からは、期待の新星・荘司里穂たんが出演。
会場は割と近所なのだが、こんなところに劇場があったなんて今まで気が付かなかった。客席はわずか3列で、観客よりもキャストとスタッフの方が多いんじゃないかというくらい。しかも客席からキャストが登場したり、笑い声を出したりフリスクを客にあげたりするので、自分が舞台上の空間にいるような、曖昧で不安定な感覚が惹き起こされる。「オズの魔法使い」の画が描かれた喫茶店のセットの中で繰り広げられるストーリーも、個性の強すぎる登場人物たちが織りなす現実と非現実のぼんやりとした間の中で進んでいく。己が「現代劇」というものに抱いているイメージに近く、これまで見てきた舞台とは異質だった。
里穂たんは、失踪した元風俗嬢の「ドロシー」。「幸子」のドジっ子とは一味異なる、過去の傷を隠して明るく生きる少女の役を、持ち前の天真爛漫だけではない、怒りや哀しみといった感情を表現して演じる姿が見られた。彼女のよく通る声は舞台では大きな武器になる。共演の長島実咲たんも里穂たんと同じスパイクエンターテインメント所属。この秋には畑澤監督とスパイクが組んで「ヴェッカー」の舞台をやるということだし、スパイク勢の舞台での活躍は今後も期待できそう。実咲たんは年不相応なあばずれの役を、デコ出し関西弁でかなりの迫力、貫禄でもって演じていた。16歳に「やり逃げ」とか言わせていいのか!
「VAMPIRE」のノワルーナで圧倒的な存在感を見せた馬渡さんが喫茶店のマスター的な元女社長役で出演。謎めきの中での無限の包容力が素晴らしい。ゲストキャラは、黒藤結軌氏、鬼束道歩氏の2名。稽古まったく無し、すべてアドリブという演出家の要求をこなさなければならないという。しかも黒藤氏の役はかなり大事な役回り。対応する主演の丸若薫くんの方が大変そうだ。この試みは、アドリブ感が逆に親友同士の自然な距離感を生み出していて成功していた。