~熱風の果て~

観劇の記録

Q‐あなたはだぁれ‐(アップフロントエージェンシー)@池袋シアターグリーン BOX in BOX THEATER(2011.7)

【脚本・演出】坪田文

【出演】小倉唯石原夏織氷上恭子田中完、陽季想、とものかつみ、半田周平、木村延生、岩田博之、霜月紫能登有沙仙石みなみ
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去年のある日、AKBのメンバーがアイドルイベントのアシスタントMCをするということでネット中継につないでみた。目に飛び込んできたのは、小さい身体とミラクルボイスでハイテンションを維持しながら演じている2人の少女。曲間に「はぁはぁ」言う小倉唯たんと、それをサポートする石原夏織たんのめんこい姿と絶妙のコンビネーションに衝撃を受けたのだった。その後、CDを過去にさかのぼって購入。ライブは敷居が高い感じがしてしまい行っていなかったので、彼女たちにとって初主演となるこの舞台が、はじめて己が彼女たちを生で見る機会だった。当初4月に予定されていた公演は震災によって中止となってしまったが、日程を組みなおして無事に上演された。
暗闇の中で五感に訴えるという触れ込みで、かなりの時間、舞台上は真っ暗闇か薄明かり。ヲタ相手の演劇としては挑戦的な試みと言えるが、場の転換が一度もなく、解決すべき課題がひとつだけで、そのひとつが重苦しい家庭問題だったので、空気の澱みがなかなか解消されずにもどかしい感じもした。楽団のリッキーやアルトが一旦は毅然と場の空気を乱しておきながら、結局他の人に解決の責任を預けちゃうのも何だかなぁ。ホテル側に比べると、楽団側の個性がまだまだ弱かった。
石原夏織たんは、神秘的な楽団の歌姫。初舞台とは思えない透明感と存在感。感情を込めた台詞回しは堂に入ったものだった。17歳にして舞台を飲み込むだけの包容力があり、将来楽しみだね。小倉唯たんも子役出身だけあって安定感のある演技だった。彼女の場合は特徴のありすぎる声が舞台に立つとどうしても浮き気味になってしまうのが難しいところ。
楽団という設定のため、生歌、生演奏がちりばめられていたり、エンディングに「Qのテーマ」を披露してくれるのはお得なポイント。
トークショーはお嬢様役を演じた仙石みなみたんが司会。どうやらかなりのいじられキャラのご様子。「天の声」と称するカゲアナがみーこみーことツッコミを入れ続けるのだが、天の声の正体は脚本のつぼふみこと坪田文たん。最終日、舞台に上がってきたときには、扉座の江原由夏たんかと思った。貫禄あるなぁ。夏織たんはつぼふみたんからは「かおさま」と呼ばれてるのか。なんか納得。劇中でもトークショーでも、みーこたんに厳しいツッコミを入れ続けるのっちこと能登有沙たんのツンデレボイスが絶妙。