~熱風の果て~

観劇の記録

Alice in Deadly School(アリスインプロジェクト)(六行会ホール 10/14、10/16、10/17)

【脚本】麻草郁、【演出】松本陽一

【出演】愛衣、新川優愛中塚智実鈴木まりや、齋藤夢愛、小池彩夢田井中茉莉亜乃下未帆坂本りおん、渚、佐藤みき、松井ありさ、青山美羽、高橋明日香、山本真由、伊藤桃、時乃真央、平川舞弥、倉咲奈央、山崎彩花、中村知世内田理央木口亜矢
f:id:JoanUBARA:20170312231251j:plain
先月の「浅草あちゃらか」に続き、六行会ホールでの観劇。ブログなどによると、わさみんはじめ、AKB関係者も多数来場した模様。
舞台は女子中学校。ゾンビの襲来を受けて人が人を食する酸鼻を極めし惨劇の空間へと転じた校舎の屋上に取り残されたソフト部員、映画部員、漫画部員、漫才部員、帰宅部員、生徒会役員、保健委員に他校の新聞部員。次第に打ち解けて、希望を失わない彼女たちにも、やがて魔の手が忍び寄る。感染した生徒たち、残された生徒たちが選んだ道とは・・・
AKBからは、生徒会長役でともちゃん、新聞部員役でまりやんぬが出演。そのほか、メインキャストとして、愛衣、新川優愛小池彩夢齊藤夢愛が出演。「らめらめ」のかーちゃんこと倉咲奈央たんらのサブキャストや日替わりゲストを合わせると、24人ものアイドルが舞台に立つとか。
14日のゲストキャラだった中村知世たんは、かつて己がDVDを購入した数少ないアイドルのひとり。当時どうして彼女のDVDを買ったのか、今となってはまったく覚えていないが、ここで会うことになるとは思わなかった。自衛隊員知世たんは、何となく萌乃たんっぽい雰囲気だった。
歌劇団への出演以来、ずっと舞台をやりたいと言い続けてきたともちゃんの役柄は、「生まれついての生徒会長」。幼い頃のアイドルになりたいという夢を封印し、勉強に勤しみ、強く、気高く、美しい性格で、威厳ある言葉遣い。普段の遠慮気味で甘えん坊な性格とはかなり異なる和磨会長を凛々しく演じていた。主役かと思った会長が物語中盤で早々に紅蓮の焔に向かって身を投げてしまう展開には驚いたが、最期まで強さを失うことがなかった会長役を演じたともちゃんもまたこの舞台で強くなれたと思う。
学園ドラマに出るのが夢というまりやんぬの役柄は、PCを使いこなし、学術用語でもって冷静に状況を説明し、感情を表に出すことができない、ちょっと変わった中学1年生の新聞部員。浮世離れキャラでもあるまりやんぬ本人とは、道順は違っても目的地は一緒というような感じで、彼女には合っていた。千秋楽のあいさつでは、狙うでもなしに会場から笑いを続けざまに誘って、AKBでもまだ完全には発揮されていないキャラクターの強さを見せつけていた。
まりやんぬを生で見たのもだいぶ久しぶりのような気がする。7期生の中で最初に印象に残った存在でもあり、モバメもちょくちょく購読しているとはいっても、己が彼女をAKB劇場で見た回数はたぶん10回にも満たないはずだ。己が次にまりやんぬを劇場で見る日はいつになるのだろうか。
舞台の完成度としては決して高くはなく、校舎屋上という空間的な限界や、自衛隊員ひとりを除いて全員女子中学生役という登場人物の多様性の限界も感じられた。後方の座席から見たときには、出演者の声が全体的に小さい印象も受けた。単純に解決にも破滅にももっていかなかったシナリオは余韻を残したが、漫才部の2人のやり取りが占める割合がちょっと多すぎた。確かに主役はのびゅーんコンビなんだけど、劇中漫才がリアルに笑いを取れるレベルだったらもっとよかったはず。
千秋楽前日にして小池彩夢たんはじめ何人かの出演者が最後の挨拶で号泣、千秋楽も高橋明日香たんをはじめ、やり切った涙が多く流されていて、出演者がひとつの方向を向きながら完成させてきた過程が垣間見えた。それに、舞台経験の少ない若い女の子たちの成長力と団結したときのパワーは想像を超えるものがある。初日はダメな部分の方が目立っていたが、千秋楽は見違えるくらいによくなっていた。優が屋上にひとり残った後の場面も、初日は「夢オチか」と白けた気持ちで見てしまったが、2回目からはそれが夢オチの夢と分かっているからこそ感動できた。当初の予定では1回だけ見るつもりだったが、3回見ることにしたのは終わってみれば正解だった。
出演者の中で、己が最も惹き付けられたのが、ソフト部部長の高森さん役で出演していたのしたんこと乃下未帆たん。いちばん通る舞台向きの発声で、表情とあわせて鬼気迫る演技を見せていた。OP曲のダンスも彼女がいちばん大きく、気合が入っていた。メインキャストの6人には含まれていないながらも、それ以上に印象に残る存在だった。ラスト前の紅島さんとのシーンが、この舞台でいちばん感動的な場面だ。高森キャプテンには惚れた。千秋楽挨拶を聞く限り、彼女自身も芯の通った人のようだった。プロフィールを調べたら23歳。舞台経験も豊富ということで、貫禄の演技にも納得。しかし黒髪でジャージ姿だと役柄そのままに中学生に見えた。なかやん主演映画にも出演予定らしい彼女の名前と顔は覚えておこうと思う。