~熱風の果て~

観劇の記録

AKB48(チームA)

【出演】岩佐美咲多田愛佳大家志津香片山陽加倉持明日香小嶋陽菜指原莉乃篠田麻里子高城亜樹高橋みなみ仲川遥香中田ちさと仲谷明香前田敦子前田亜美松原夏海
発表から11か月、AKB劇場の溢れでんとする流れを塞き止め続けていた重たい岩がようやく動いた。これだけの時間がありながらも、結局は駆け込みの無茶なレッスンでどうにか初日を迎えた新公演。間に合うかどうか不安の中でレッスンをこなしてきたキャプテンたかみなの涙には、想像を絶するまでの苦労が偲ばれた。そんなメンバーの努力の甲斐もあって、十分見せられるレベルで「目撃者」公演の初舞台は演じられていた。
目を潤ませる場面もあったわさみんにとっては4か月ぶりの劇場本出演で高校生になってからの初舞台。筋肉の塊だった逞しい太ももがひと回り細くなっていたところにも、4か月の長さの証拠が見えた。ポジション的には、上手端を中心にサイドにいることが多く、歌唱でのアピールポイントも少ないが、まずは筋力を戻して、ダンスで目立っていってほしい。もっとも、己はモバメでの「出れるように頑張ります」宣言を信じて、わさみんのK6への出演も待ち続けるつもりだ。K6では研究生のアンダー育成が後回しにされているようなので、実現可能性は十分あるはず・・・
年齢層が高いチームA、後半戦のMCでは学生がらぶたんただ独りという場面もあって、今さらながら世代の上昇を感じた。大人のチームAの中に入ると、社会人はるごんの子供っぽさがますます引き立つ。はるごんは初日から曲によって集中力に大きな波があったが、気持ちが乗り切ったときの荒ぶったパフォーマンスはやはり目を引く。
チームAのダンスをなめていたというらぶたんが汗を2リットルかくくらい、この公演は激しい曲が多い。キングシングル路線とはまったく別の路線で、チームAのイメージを壊すことに力点が置かれている。前半戦、後半戦、アンコールと、期待を裏切ることを楽しむかのように加速しながら疾走していく。ダンスの激しさの一方で、フォーメーション上の躍動感は少なく、どちらかといえば、個人のパフォーマンスが主要な要素になっていた。曲調的には勢いで押し通していく曲が続き、曲の個性、セットリストの色彩の豊かさといったところには物足りなさもあった。
従来のイメージを壊す一方、「ナミダの深呼吸」と同じくあっちゃん神礼賛フォーメーションがあったり、ラスト曲では再編があってもチームAこそがAKBの歴史の正統であることがアピールされたりしてはいる。「目撃者」というタイトルは1曲目だけではなく、ラストの曲にも係っている。
ユニットでは、なかやんのピアノ伴奏からスタート。あっちゃんともっちぃが並び立つというのは意外な光景だった。黒髪ストレートのあっちゃんの飾り気のない魅力というのはいいものだ。なかやんは顔を上げて演奏できるようにならないと、客席へのアピールになるせっかくの大役がもったいない。
さっしーと高城さんの炎上ソングは、アイドル歌謡路線。馴染みやすさではこのセットリストでいちばんだろう。ルックス面ではノスタルジーを感じさせるさっしーというキャスティングも合っている。今日のさっしーは、前半は前髪なで付け、後半は前髪上げで、前髪を下ろしたさっしーしか知らない己にとっては、前半3曲の時点ではうりゃに似ている人がいるという感じで、誰なのか分からなかった。
たかみなソロは満を持してここで組み込まれた。恋愛禁止条例のような黒い衣装に身を包み、豪快に剣を抜いて舞うたかみなの姿は、間近で味わいつくしたいものだ。直情的な歌なので、たかみなの歌唱に合ってはいるが、もう少し冒険があってもよかったかもしれない。
2期生からは唯一のチームA入りとなったなっつみぃは、K5千秋楽以来、5か月ぶりの劇場舞台。「みんみんみん」がなくなってしまったのは残念だが、ダンサーなっつみぃにとっては、見せ場の多い舞台になっている。サボテンとゴールドラッシュユニットは、これまでにないからっとした正統派ロックで、A6の曲の中では最大の収穫といえる。ただ、旧Kメンが2人だけという舞台は、やはり己にとってはホームという感覚には乏しかった。
三兎を追うことはおろか、二兎を追うことも難しい劇場情勢。チームA公演をどれだけの頻度で見ることになるのか、今日のインプレッションからすれば、少なくなりそうな気もしている。チーム再編があってもやっぱりチームKを離れてはAKBでは生きられないということを感じつつ、そろそろB5公演も見たくなってきた。