~熱風の果て~

観劇の記録

伝染歌

大島優子たむ主演の「伝染歌」を見てきた。大ヒット御礼イベントを打つくらいだから、上映館はさぞかし人であふれているだろう、とはもちろん思っていなかった。己の外に観客が2組5人・・・存外多いな。
冒頭、優子たむのトライアスロン部長姿がアップになった瞬間に、何だか嬉しくてにやけてしまう。走る優子たむは絵になる。彼女の演技の魅力である、表情による表現の多彩さと深さは見られたが、この1本だけでは、当然見足りないし物足りない。役としては、才加の朱里的な要素があった方がおもしろかったかもしれないが、それはまた次の機会に。秋元康のテリトリーを離れたところでもチャンスをうかがってほしい。リクとのキスシーンがないかとか、無駄にセックス言わされたりしないかとか、要らぬ心配しながら見てしまった。優子たむ以外の出演メンバーも、思ったより台詞が多かった。
ストーリー的には、あんずと道子さん以外は道具としても使いこなせていないのが食い足りない点。劇場公演やサバイバルゲームに時間を割けるなら、もう少し切り込めたと思えなくもない。才加の朱里ですら、香奈たむの自殺以外に背負っているものが判然としなかった。香奈をはじめ、自殺者や未遂者の心理は説明できないし、自爆テロに至っては何がなんだか。それでも、クライマックスシーンでは不覚にも涙が出てきたので、己なりに胸にくるものはあった。
・・・と、エイプリル・フールの「暗い日曜日」(1969年)を聴きながら書いている。作詞者の松本隆は呪いの歌を知っていてこのタイトルにしたんだろうな。