~熱風の果て~

観劇の記録

チームKは少なくとも己の想いとしては今日で解散なので、千秋楽に参加できなかったやり場のない情を、せめて日記に書き殴ろう。

とにかく強い娘だった。強さゆえにポッキリ折れてしまうんじゃないかと心配したこともあったが、そんな必要もないくらいに、強がりを真の強さに変えてしまった。PARTY公演ではMCの1番バッターとして、チームKの雰囲気をつくっていった。彼女の存在がチームKの強さそのものだった。セカンドまでは、強引に引っ張ろうというところも見えたが、サードに入ってからは、チームのリーダーの一人として、気持ちの面でパフォーマンスの面でも苦しい時期をリードして乗り切った。しかし彼女は強いだけではなかった。ファーストの「青空のそばにいて」、サードの「片想いの卒業式」では、合気道で培ったものなのか、殺気を消し去った無我の境地に達していた。強さと無の両面を併せもった才加。チームKのツートップの一角として、チームを引っ張っていってくれてありがとう!

  • 今井優

彼女のことを意識するようになったのはセカンドに入ってからだった。「ビーチサンダル」でのお出迎えに高まった直後に、劇団NYの結成があった。ステージ上ではほとんど目立つ場面がなかった彼女が輝きはじめた。デコ出しを経て、前髪が伸び、その美的成長には目をみはるばかりだった。優等生に見られがちだけど、気持ちの強さでは、チームKの中でもトップクラス。妥協することのないキレのあるダンスとサービス精神にあふれたMCは見ていて気持ちがよかった。なっち、かおりんといった、選抜で悔しい思いをしていたメンバーを引っ張っていく存在だった。ここでAKBを離れることは決して間違ってはいない。女優・今井優として、再び己の前に現れる日が来るだろうか。

昨年6月の突然の離脱。当時の状況を思えば、それもひとつの決断だったと思う。願わくば、声優としての道を歩もうと、そうでなくとも、AKBでの2か月が彼女にとって糧とならんことを。稀代のネコ顔で、いつも彼女の顔を見ると、勝手にヒゲを付け加えていた。お母さんキャラ、昭和キャラは彼女の本意とするところではなかったのだろうか。2か月の間、舞台で頑張っていた彼女の存在をなかったことにすることはしたくない。

脳パラでは結局2回しか会えなかった。しかし、その2回だけで、「MARIA」の印象は鮮烈に脳裏に刻みつけられた。衣装、曲風、ダンス。「MARIA」はセカンドで長期休場し、悔しい思いをした彼女のための舞台だった。ファースト初期はとんがった印象だったが、すぐに彼女の可愛らしさ、人懐っこさがステージ上に表れるようになった。それが彼女の魅力であると同時に致命的な弱さにもなりかねないと思ったが、チームKという環境がなければ、本来持っていたそんな面が表れることもなかったのかもしれない。長いこと彼女のダンスを見ることができない状態だが、「AKB48」、「ふしだらな夏」などで見せた、圧倒的なダンスパフォーマンスの印象は色褪せない。

一昨年の冬、ふとしたところから「PurePure」を買い揃えていく中で、誰よりも魅力的に思えたのが彼女だった。しかし、時は彼女に味方せず、さしたる仕事もないまま、栃木でバレー部マネージャーとして青春の時をひっそりと過ごしていくのかと思われた。しかし、昨年4月、突然AKB48入りという情報が飛び込んできた。この機会を生かすことができたのも、彼女の精神力の強さに呼応するだけのポテンシャルを持ったチームメイトがいたからに他ならない。ファーストではスカひらに参加、MCでは司会を負かされ、セカンドではデュエット、サードではソロ、と順調に思えるチームKでの道のりも、決して平坦ではなかった。壁にぶつかることを楽しみにしているようにも思える彼女は、天性の表現力を発揮する場を、自分の努力で手に入れた。ここまですごい娘だとは思わなかった。

「すいませんでした」は去年の夏までの定型句。秋からは、MCでは時には毒舌で、時には哲学的に盛り上げ、サードでは「ほねほねワルツ」の大役を得て、パフォーマンス面でも気の抜けたところが見られた初期からは大きく成長した。優子パパに言われるまでもなく、将来は大物になることは間違いない。ブログでは常に自己反省を繰り返している彼女はAKBのエースと呼ばれるまで成長を続けるのではないだろうか。

めーたんの存在なしには、チームKの団結力はあり得なかった。カフェ時代からのステージへの強い想いをステージ上でのパフォーマンスに変えて、自分の身を削ってまで、観客を楽しませ、チームをまとめ上げていった。どんな曲でも、100%その世界観に入り込んで、時にはセクシーオーラを出し、時には神々しい光を発し、時にはくるくるぱーになり切った。サードの「MARIA」での梅ちゃんの代役は彼女をおいて適任者はいなかった。そういった面が、CDのメンバー選抜での評価に結びついてこないのは不憫な気がする。

当初からアイドルとしての素質はきらびやかなものがあったが、ステージを重ねて、キラキラパワーはパワーアップし続けた。サードの「ほねほね」は、彼女のレベルからすれば、成長するためには軽すぎた気もするが。ファーストでは、二つ結び、「チ〜〜〜ムK」が突出していたものだから、己は彼女の本質を見誤っていたところがあった。彼女の魅力は、子供としての可愛らしさではなく、あくまでえれぴょんとしての可愛らしさだったことに気がついたのはセカンドに入ってから。マスコット的存在から、今やAKBの至宝として、中心的な役割を担っている。性格も申し分なし。これからAKBに黄金時代が訪れるとすれば、その中心にえれぴょんがいることだろう。

デビュー当初から、ヲタの心を摑むMCには天性の小悪魔ぶりが宿っていた。寂しがり屋でわがままで甘えん坊で少し嗜虐性向も持ち合わせて。そんなトモに、己は懐疑的な目を向けようとした時期もあった。しかし、「星の温度」での切ない表情、「青空のそばにいて」での恍惚の表情と天使のステップを見ていると、もう彼女には逆らえないという感じがした。人一倍負けず嫌いで努力家な面を持っているから、順調に中身を伴った成長ができたのだろう。事務所を移籍して、これからの売られ方がやや懸念される一人ではあるけど、チームKでの経験があれば大丈夫だと思う。

スカひら隊、動物園ソロパート、会いたっかた選抜、くるくるぱー隊長、と歌とダンスの技量からすれば恵まれた役をもらってきた彼女に対してはどうしても厳しい目を向けてしまうことが多かった。しかし彼女はくよくよせずに努力する素直さで、着実に階段を上っていった。香菜といえば、MCでのインパクトがやはり強烈。特にセカンドの動物園MCでは、司会を任されたことで香菜ワールドをつくり上げてしまった。ブログでもいつもズレたことを書いていた彼女が、チームKの千秋楽に当たって書いた文章には感動してしまった。

彼女のこともファーストでは完全に誤解していたな。緊張の余りの早口は周りを見ない自己中心的な性格のせいだと思ってしまっていたし、サービス精神からのセクシーなキスだめMCもナルシストなんじゃないかと思ってしまっていた。なっちの本当の優しい性格が分かってきたのは、ウェルカムブックや誕生祝の様子を読んだあたりから。セカンド途中から、髪をストレートに変えてきたときの衝撃はすさまじかった。MCでは多彩な芸を披露して客席を盛り上げ、ついには優ちゃんとの劇団NYを結成し、ついに彼女に光が当たった。劇場でも彼女を中心に見るようになると、細かいところでも客を楽しませようと頑張っている様子が見て取れた。ユニットから外されたセカンドの悔しさをバネに、サードでは「君はペガサス」に抜擢された。MCでのチャレンジの面では、サードでは劇団NYに頼りすぎた面があった。優ちゃんと離れ、またなっちの新たな挑戦が始まる。

思えばファーストで「星の温度」の最初のソロパートを得たことが彼女のリズムを狂わせたのかもしれない。八代亜紀が乗り移ったような情感をこれでもかとこめた歌唱だったが、トモケチャとツインタワーの影に埋れてしまった。セカンドでは納得の干され。舞台上で目立つ機会も失い、這い上がる術はないようにも思えたが、ここから頑張った。紅白歌合戦ではアン・ルイスをゴージャスないでたちと高い歌唱力で演じ、ゴングショーでは腹筋山手線と罰ゲームでのチアガール。そして自らを「TAKADA」と称し、いじられキャラで活路を見出していった。サードでは「花と散れ」が素晴らしかった。気合の表情と動きには鬼気迫るものがあって、この曲に限って言えば、彼女のことを見ている時間がいちばん長かった。あとは体型をデビュー当時に戻せればいよいよ面白い存在になりそうだったが、それでも心のどこかに抱えているものが常にあったのだろう、サードステージをもって卒業の道を選択することとなった。地元に帰ってどういう活動をしていくのか全く分からないが、いつかまた元気な姿をどこかで見せてほしい。

生真面目なめーたんと好対照のゆるいリーダーシップはチームKに不可欠のものだった。常に個人プレーよりもチームプレイを大事にする姿勢が、年齢を問わず人望を集めていた。「AKBに入っていなかったらアイドルのマネージャー」と自ら語っているが、AKB48プレイングマネージャーにはこれ以上の適任者はいないだろう。ファーストのキスだめから始まって、セカンドのパンダと「ふしだらな夏」、サードの「片想いの卒業式」までステージ上でもとにかく存在感があった。「禁じられた二人」の代役で見せた高い歌唱力をもっと生かす舞台を増やしてあげたい。

  • 早野薫

舞台の経験があったため、ファーストから表現力ではチームKの中では目立っていた。その力を最も発揮したのがセカンドの上手でのパフォーマンスだった。「Virgin Love」や「日付変更線」での色気のあふれるステージには目を奪われることが多かった。サードでは全国ツアーを前に負傷で長期離脱をして心配させたが、これも梅ちゃん同様に、余りにも激しすぎるダンスのせいなのだろう。復帰後は、ダンスのパワフルさはさすがに以前より落ちていたが、舞台上で元気な姿を見せてくれるのがいちばん。選抜へのネックになっているのは曲でのパフォーマンス以外の部分が大きいのかもしれないが、その部分がかおりんの個性であり魅力でもあると思う。

太陽、向日葵と形容される明るいキャラクターと裏表のない性格でチームKのムードメーカー役になるとともに、15歳という年齢を超越した人間力と高いプロ意識でチームKを引き上げてきた。ファーストは「クラスメイト」、セカンドは「Blue Rose」でAKB随一の歌唱力の片鱗は伺えたものの、「会いたかった」ではまさかの選抜漏れ。そこに込められたスタッフ側の意図に100%以上応えたのがファーストコンサートシャッフルバージョンでの堂々とした主役ぶりだった。その勢いを駆って脳パラでも要所要所で存分に歌唱力を発揮し、選抜メンバーにも定着していった。シンガーソングライターを目指す彼女だが、歌以外の面でも魅力が多いだけに、これから先、どういう仕事をこなしていくのか注目だ。

ファーストでは目立たないながらも透明感あふれる笑顔で着実にファンを増やし、セカンドでは熱いダンスナンバーでの妖艶な表情と鋭いまなざしで新境地を開拓し、メジャーデビューを果たすまでに至った。そんな彼女に魅せられて、チームK99回公演での握手会では己は彼女の元に赴いたのだった。サードではクリスマスコメントで盛り上げ、「花と散れ」では更に研ぎ澄まされた眼光が見られたが、全体的にはなかなか自分の色を出せずに、再び埋没しがちになってしまった感がある。飄々とした雰囲気の中に静かに秘めた情熱は相当なものがある。完全に鎧を脱ぎ捨てて熱い想いが常にストレートに出てくるようになれば、次のステージを再飛躍のきっかけにすることもできるだろう。

彼女の強さは独特だ。香菜は落ち込むことをせずにひたすら前に進むが、佐江はとことん落ち込んでからそれをバネに伸びていく。ファーストではユニットで声が裏返っただけで本気で落ち込んだ様子を見せ、MCを忘れたり、ステージ上で泣いてしまったりするたびに落ち込んで心配させるんだけど、すぐに立ち直って、強くなっていけるのが彼女のすごいところだ。純粋で素直なんだろうな。「深海魚」で見せたような物怖じしない性質はメジャーで通用するための武器になる。サードのユニット曲やアンコールでは、女の子らしい少しフニャフニャした性格を押し殺して、強い女になり切っていた。Chocoloveとしてユニットデビューを果たしたことが、プラスに働くのか現時点では分からないが、AKBの先導者として相応しいのは間違いない。