~熱風の果て~

観劇の記録

AKB48(チームK)

【出演】秋元才加、今井優、梅田彩佳大島優子大堀恵河西智美小林香菜佐藤夏希高田彩奈野呂佳代、早野薫、増田有華松原夏海宮澤佐江
優子ファンにはほとんど用のない場所ながら、これまで上手観戦が多かったのは夏海たむとかおりんがいるからに他ならない。今日はこの2人に注目すべく、約ひと月ぶりに上手エリアからの観戦となった。
しかし、何ということか!夏海たむがライオンさんを最後に舞台から姿を消してしまう。「ふしだらな夏」で舞台が明転する瞬間にあるべきはずの夏海たむの艶麗な眼差しがない。これまで、お台場のテレ電パートを休んだくらいしか夏海たむの体調不良というのは記憶にない。それに、我慢強い彼女のことなので、少しのことなら無理をしてでも出るはずだ。
ああ、己は何て馬鹿なんだ!彼女の眼をしっかと見ながら変調に気がつかなかったばかりか、迫りくる苦しみに堪えながら「雨の動物園」を演じていたというのに、己はシマウマさんやパンダさんばかりを見ていたではないか!、と誇大して云えばこんな感じで、心に棘を残した観戦となってしまった。
でも仕方ないのさ。やっぱり「雨の動物園」は中身は無視で純粋に着ぐるみの可愛さからいえば、ゾウさん>シマウマさん>ペンギンさん>パンダさん>キリンさん>チンパンジーさん>ラクダさん>ライオンさん、なわけで、こればかりはどう見ても夏海たむは損をしているわけさ。なぜか雄ライオンだし。
夏海たむ不在の上手では、局面では普段は見過ごしていたものが見えたのはせめてもの収穫だった。「日付変更線」は、上手の空間はかおりん一人のためのものだ。豊かな表現力で踊る彼女は、この時、柱と壁に区切られた舞台のプリマドンナとなる。
「転がる石になれ」では、あやの鬼気迫る表情からほとばしる熱い気持ちの渦が客席を呑み込んでしまうかのようだ。「星の温度」での八代亜紀が乗り移ったかのような情感あふれる表情も魅力があったが、この曲ではそれ以上だ。
「シンデレラは騙されない」では、夏海たむがいると、意思にかかわらず視線が彼女の瞳に9割方吸い寄せられてしまうので、なかなか他の4人を見るチャンスがなかったのだが、めーたん、優ちゃん、かおりん、なっちの吸引力も凄まじいことにやっと気がついた。今日もトモの靴が片方脱げてしまったのはシンデレラを意識したハイレベルな演出だったのか!
「打ち上げ花火」に替わって「青空のそばにいて」が演じられた。サプライズではなく、季節に合わせたプログラム変更だろう。前向きな感傷にあふれたこの曲を久しぶりに聞いて、胸が熱くなった。下手へと歩を進め、踊り人形のようなダンスを披露するトモの神々しいまでの微笑みは健在だった。うっとりしていると小悪魔の杖でツンツクツンされてしまうから、気をつけなければいけない。「青空」もいいのだけれど、PVの代わりに、チームK版「会いたかった」を生でやってくれれば、もっと理想的だ。